北朝鮮、物資の流通量を増やし物価上昇を抑制

北朝鮮は、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐために国境を事実上封鎖し、物資が国内に入ってこなくなった。それによる物価の高騰が伝えられている。

当局は、地域の人民委員会(市役所)の幹部と市場管理員に、市場価格の取り締まりをさせているが、国際社会の制裁にも安定していたコメやガソリンも上昇傾向にある。


このような事態を受け、当局が砂糖を市中に大量に流通させ、価格の安定を図っていると、現地の情報筋が伝えている。その効果があったのか、食用油などは15%以上価格が上昇していたが、今週に入ってから価格が少し下落した。ガソリン価格も概ね安定するようになった。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、寒い冬でもよく売れる中国製のアイスクリームが700北朝鮮ウォンから1000北朝鮮ウォンに、底のない靴(買った人が底をプレスして付けるもの)は1500北朝鮮ウォン上がった1万3000北朝鮮ウォンで売られている。(※1000北朝鮮ウォンは約12円)

北朝鮮の国産品でも、生鮮食料品などを除いては、原材料や燃料を中国からの輸入に頼っており、国境封鎖の影響で価格が上昇傾向にある。国産の大豆油は500北朝鮮ウォン上がって4000北朝鮮ウォン、豆腐1丁は300北朝鮮ウォン上がって1300北朝鮮ウォンだ。

物価高騰の理由について「敵対勢力の制裁騒動がひどいときでも、密輸業者が取り寄せた品物を、タルリギ(遠くから品物を取り寄せる卸売業者)が取り寄せて市場に流通させていたが、今回の伝染病事態は制裁よりずっとひどい」と述べた。

北朝鮮産のカレイ、干しエビ、サバ、貝などもわずかながら価格が上昇しているとのことだ。また、電化製品も例外ではなく、テレビや冷蔵庫、浄水器の価格も上昇している。

一方、中国でウイルス感染が広がり始めた当初は1キロ6500北朝鮮ウォンで売られていた砂糖だが、当局が流通業者に市中に品物を卸すことを指示し、5500北朝鮮ウォンに下がったとのことだ。大豆油も価格が下がったが、市民の不満は多少ながら押さえられた形だ。

デイリーNKが調査したこの3ヶ月の物価動向を見るといずれも上昇傾向にあるが、中でもディーゼル油の値上がりが著しい。1月17日には1キロ平壌で7260北朝鮮ウォン、恵山で7300北朝鮮ウォンだったのが、2月11日は1万500北朝鮮ウォン、1万1500北朝鮮ウォンに上昇している。

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