北海道大学など、短時間で大腸菌を測定する新手法を開発

北海道大学大学院工学研究院の佐藤久教授、医療機器メーカー・セルスペクトの平野麗子研究員らの研究グループが、蛍光色素の強度を高感度で測定して大腸菌数を調べる新手法を開発した。測定時間が従来の10分の1で、安価で一度に多数のサンプル調査が可能となる。

北海道大学によると、大腸菌数の計測はこれまで、寒天培地や液体培地を使って大腸菌を培養し、そのコロニー数を調べていたが、結果が出るまでに24時間程度かかっていた。研究グループは大腸菌の液体培地に蛍光基質を加え、37度に温めながら10分ごとに培地の蛍光強度を自動測定する手法を考案した。

蛍光強度は大腸菌の数に比例するが、大腸菌が持つ酵素は基質だけを分解するため、酵素分解が始まるまでは蛍光を発せず、分解後にだけ蛍光を発する基質を使用することで大腸菌の数を簡単に調べることができる。

さらに、測定時間を約2時間に短縮することに成功したうえ、1度の測定で96のサンプルを同時に調べられ、1サンプル当たりの測定コストを約2円に抑えることができた。

研究グループは低濃度のサンプルや河川水、牛乳中の大腸菌数測定に成功している。今後、浄水場や食品加工場、開発途上国の井戸などで使用していく方針。水や食品の汚染が短時間で分かるようになるだけに、飲料や食品業界の注目を集めそうだ。

論文情報:

【Science of The Total Environment】Simple and Reliable Enumeration of Escherichia coli Concentrations in WastewaterSamples by Measuring β-D-glucuronidase(GUS)Activities via a Microplate Reader

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