【MLB】筒香嘉智にレイズが“太鼓判”を押すワケ 岩村明憲氏が示した「良い経験」とは

レイズ・筒香嘉智【写真:Getty Images】

球団オーナーが岩村氏の加入当時を回顧「『オーマイゴッド』という感じだった」

 レイズの筒香嘉智外野手が、フロリダ州ポートシャーロットのキャンプ施設で開幕に向けて順調に調整を続けている。全体練習2日目の19日(日本時間20日)に取材に応じたスチュワート・スターンバーグ球団オーナーは、岩村明憲氏が加入した当時の思い出を回顧。「スプリングトレーニングでの彼は酷いものだった」と明かしている。

 岩村氏は2007年にポスティングシステム(入札制度)でデビルレイズ(当時)に加入。08年には主力として球団史上初のワールドシリーズ進出に貢献した。スターンバーグ・オーナーは「他の日本人選手も数名ここに所属していた。アキはここでプレーしてた頃、非常に成功していた。素晴らしい成果を生んでくれた」と絶賛しつつ、当初は“不安”があったことを明かした。

 球団は当時、入札金455万ドル(約5億円)で岩村氏との交渉権を獲得し、3年総額770万ドル(約8億5600万円)で契約したが、同オーナーは「面白い話がある。彼は(日本から海を渡って)ここに来たわけだが、金満球団ではない我々が、なかなかの金額を費やしていた。スプリングトレーニングでの彼は酷いものだった。彼はヒットを打っていないと思う。かろうじてファウルを打つくらいだった」と振り返る。オープン戦では22試合出場で打率.220、OPS(出塁率+長打率).597と確かに低調だった。

「我々(首脳陣)はお互いを見て『オーマイゴッド』という感じだった」

岩村氏は開幕後に一変、1年目に123試合出場、打率.285をマークした

 しかし、開幕後に一変した。「その後シーズンが始まると、彼は素晴らしかった」。1年目は123試合出場で打率.285、OPS.770をマーク。そして、2年目はチームリーダーとしてワールドシリーズ進出に大きく貢献した。

「そこから我々が学んだこと。それはスプリングトレーニングがどれだけ重要かと言うこと。私が思うに、日本人選手たちにとっては、単に楽しむことも大事な一方で、準備することがまず大事だということ。(筒香がスプリングトレーニングの)試合で良い結果を残せなくても、我々は既に(岩村の例があるように)良い経験をしているから、彼は問題ないだろう」

 岩村氏のように、オープン戦で低調でも筒香の力を疑う必要はないと同オーナーは考えている。不慣れな環境の中、メジャーデビューに向けて調整する新戦力をチームはしっかりと支えてくれている。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

© 株式会社Creative2