【MLB】コミッショナー発言に不満続々 サイン盗みへの報復死球「許さない」はア軍に有利!?

サイン盗み騒動に揺れるアストロズ【写真:Getty Images】

コミッショナー発言で「失投してアストロズの打者に当てた投手の意図を読み違えるかも」

 アストロズによるサイン盗みへの他球団選手の怒りは収まる気配がない。複数の投手が報復死球を行うことを“宣言”したことに対して、MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏は「許されない」と明言したが、これにライバルチームからの不満が爆発。逆に、アストロズに有利になるとの声があがっていると、米メディアが報じている。

 米ケーブル局「ESPN」は「ロブ・マンフレッドが報復死球からアストロズを守る指示をしたことについて不満が募っている」とのタイトルで特集を掲載。同コミッショナーが16日(日本時間17日)に「アストロズの不正への報復死球は許されない」と発言したことを紹介した上で「ある球界関係者が『またアストロズの勝利』」と話したと伝えている。

 アストロズに対しては、インディアンスのマイク・クレビンジャー投手、ドジャースのロス・ストリップリング投手が報復死球を行う可能性があるとコメント。さらに、レッドソックスのクリス・セール投手やドジャースのアレックス・ウッド投手は、報復死球が起こるだろうと語っていた。

 これに対して、アストロズのダスティー・ベイカー監督は「ケガ人が出る前にMLBがストップを」と対応を求める事態に。記事では、これらの事実にも言及した上で「しかし、他球団の懸念は、このように警告することにより、審判に過剰反応させるリスクを冒したことである。ただ失投してアストロズの打者に当てた投手の意図を読み違えるかもしれない」としている。つまり、コミッショナーの「警告」があったことで、アストロズに有利に働いてしまう可能性があるというのだ。

「投手がアストロズ相手に内角を攻められないなら、アドバンテージになる」

 実際に、あるア・リーグ球団スタッフは「アストロズの打者たちは守られると分かっていて、審判が投手を退場処分とするのであれば、彼らには以前と同じアドバンテージがある。何が投げられるか分かるんだ。投手がアストロズ相手に内角を攻められないなら、アドバンテージになるよ」と話したという。アストロズ選手への死球=報復死球と意識することで、内角を攻めづらくなる可能性は確かにある。当ててしまえば「不公平な退場につながる可能性がある」とも記事では言及している。

 ある球団関係者は「アストロズ以外の打者たちには、このような先制措置はない。それは正しくないよ」と不満を示したという。ただ、マンフレッド・コミッショナーは「私の懸念としては、選手に意図的に当てることは、深刻な怪我につながるリスクがあります。そのようなことを防ぐように、監督たちに求めました。審判とも連携します」と話しており、報復死球は許さないとのスタンスだ。

 どのような事態になるかは、実際にシーズンが始まってみなければ分からない。ただ、アストロズ選手の火に油を注ぐような発言もあり、他球団選手の怒りは収まるどころか増幅している。MLBがどのような対策を取るか、注目が集まる。(Full-Count編集部)

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