消費税増税、飲食関連を中心に節約志向の高まりの声。回復の遅れ長期化か

 世界経済の失速を受けて景気後退が懸念されている。昨年10月の消費税増税は当初より景気腰折れの引き金にならないかとの声もあったが景気回復が内需主導で有り雇用も安定していることからその影響は軽微という見方が多数派であった。しかし10月以降の天候不良により消費税の影響は長く尾を引いているようだ。

 14日、内閣府が「地域の経済2019」を公表した。報告書によれば昨年10月の消費税率引き上げの影響は販売形態別には違いがみられたものの地域別には大きな違いがみられなかったようだ。

 百貨店販売額については2019年に入ってから、ほとんどの地域で7月まで前年を下回って推移しており、梅雨明けが7月末まで遅れ気温が上がらず夏物商品の販売が不調だったことが要因とみられている。8月以降は気温が上昇して夏物商品が売れ出したことや消費税増税を前に高額商品や化粧品等を中心に駆け込み需要がみられ9月までは前年を上回る実績となった。しかし、10月には駆け込み需要の反動や台風や大雨による短縮営業の影響で前年を大きく下回る結果となっている。注目すべきは、中国人観光客のインバウンド消費が近畿における百貨店販売額の押上げに寄与していることだ。

 スーパー販売額は飲食料品に軽減税率が適用されたこともあり百貨店に比べて消費税の影響は軽微であったようだが、10月には百貨店同様に台風や大雨の影響や駆け込み需要の反動減もあり前年を下回る結果となっている。コンビニ販売額についても主力商品である飲食料品が軽減税率の対象になったことやキャッシュレス決済のポイント還元事業が下支えとなり消費税ショックは小さなものにとどまったようだ。

 景気ウォッチャー調査からの分析では、DIの回復度合が前回14年では税率引上げから2か月後の6月までに9.5ポイント上昇しているのに対し、今回は12月までに3.1 ポイントと低下幅に対して3割強の上昇にとどまっている。これは世界経済の減速や12月の暖冬等が家計動向や企業動向の景況感に影響を与えたもので消費税増税それ自体の影響ではないと報告書は分析している。

 しかし、ウォッチャーのコメント分析からは、飲食について忘年会の減少等、節約志向の高まりを指摘する声もあり、「消費税率引上げによって消費を控える動きが飲食関連に出ている可能性がある」と報告書は指摘している。今後、新コロナウイルスの影響でインバウンド関連などを中心に消費低迷が長期化する懸念もある。(編集担当:久保田雄城)

内閣府が地域の経済を公表。消費税率引き上げの影響、販売形態別に違い

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