西武の絶対的リーダー・栗山が激白 “松坂効果”が「財産になるのは間違いない」

インタビューに応じた西武・栗山巧【写真:宮脇広久】

野手最年長が大いに語る、松坂ら復帰で「駆け出しだった十何年前に戻った気分です」

 松坂大輔投手の14年ぶりチーム復帰で盛り上がる西武の宮崎・南郷キャンプ。一昨年、昨年と2年連続でパ・リーグを制しながら、いずれもクライマックスシリーズ(CS)でソフトバンクに苦杯をなめさせられ、日本シリーズ進出を阻まれているだけに、今年はなんとしてもリベンジを果たさなければならない。野手最年長で誰もが認めるチームリーダー、栗山巧外野手がFull-countのインタビューに応じ、“松坂効果”の中身から、チームの内情、自身の打撃まで大いに語った。

――今キャンプ序盤、宿舎ホテルの夕食会場で松坂投手がひとりでポツンとしていたところ、栗山さんが気を使って同じテーブルに座ってあげたというエピソードを辻監督が明かし、メディアを賑わした。

「いや、もう、何から何まで記事になっちゃうんだなと、改めて思いましたよ。ひとりでご飯を食べることがあったって、そんなの普通じゃないですか。これじゃ、松坂さんは大変やなと。取材の数もね。いつも(球団が選手閲覧用に張り出す)その日の“取材一覧”を見ながら、『松坂さん、お疲れさまです!』って言ってます」

――14年前に松坂投手と一緒にプレーした選手で、いまも現役なのは栗山さんと中村剛也内野手だけ。14年前の松坂投手と比べて、どこが変わった?

「松坂さんのここが変わった、という風には感じないのですが、何より、今年は小関(竜也外野守備走塁コーチ)さんが(西武に15年ぶりに)帰ってきたでしょ。豊田(清投手コーチ)さんも帰ってきたでしょ。松坂さんも帰ってきて、西口(文也投手コーチ)さんもいるじゃないですか。なんだか、十何年前に戻った気になっちゃって。駆け出しの頃を思い出しています。あの時と変わらない緊張感があります。背番号52(2007年まで。現在は1)に戻った気分ですよ」

――それは栗山さんにとってプラス?

「はい。チームで僕より年上というと、松坂さん(39歳)の他に、内海(哲也投手)さん(37歳)もいらっしゃいますが、野手では僕とおかわり(中村)が最年長で、ちょっと下の年代もいないんですよ。次の木村(文紀外野手)、森越(祐人内野手)は5歳下ですから。僕やおかわりにとって、先輩の姿を見られるのはすごくありがたい。最年長っていわれるより、若くいられますから」

子供の頃は阪神ファン? 「いや、僕はオリックスファンでした」

――具体的に、“松坂効果”とは?

「これから出てくるんじゃないですか? もしかしたら、数年後かもしれない。いま松坂さんを見ている選手たちが、自分が困った時に、松坂さんはこういう練習をしてたとか、こう調整してたとか、すぐにひらめくものがあればもちろんいいし、数年後でもいい。いずれにせよ、ライオンズの財産になるのは間違いないです」

――逆にここ数年、菊池雄星、浅村栄斗、今オフの秋山翔吾ら、メジャー移籍やFAで主力の流出が続いている。

「寂しいと思う反面、振り返ってみると、僕も先輩がFAで出ていかれてチャンスをつかんだ人間なんで。和田一浩さんが抜けて(2007年オフに中日へFA移籍)、空いたレフトに入った。ですから今年も、次は誰が出てくるんだろうという楽しみがある。結果的にチームの活性化につながっていると思います」

――2年連続でパ・リーグを制しながら、いずれもCSで敗れ日本シリーズ進出を逃している。

「僕は悲観的にはとらえていないです。もちろん悔しいですけど、プレーヤーとしては、(CSでは)ソフトバンクが自分たちより強かったとシンプルに受け止めるだけです。今季ももちろんリーグ3連覇するつもりですが、もし2位とか3位になったときには、あれくらいの集中力と執念をもってCSを戦わなくちゃいけないと勉強になった。それに、長丁場のペナントレースを通してソフトバンクより上にいったのはライオンズ、そっちの気持ちの方が強いです」

――栗山さんは今年9月で37歳になる。トシを感じることは?

「ありますよ! ゲームが始まったらそんなに思わないですが、やっぱりこのキャンプでも、周りのみんなは(練習の合間の)インターバルが短い。次の練習に行くのが早いんです。やっぱり若いんやなあと。こっちは休憩入れて、よっしゃ次行こう、とならないと、集中力が持たないです。それはすごく残念」

――ちなみに、神戸出身ということは、子供の頃は阪神ファン?

「いや、僕はオリックスファンでした。自宅がグリーンスタジアム神戸(現ほっともっとフィールド神戸)に近かったので。野球を始めたころに憧れたのは、藤井(康雄)さん。その後、イチローさんや田口(壮)さんが活躍されるようになりました」

【下に続く】(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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