北方領土返還の要求集会 「県民世論 結集を」

 北方領土返還要求県民会議(会長・一瀬政太県町村会会長)は18日、長崎市内で北方領土返還要求県民集会を開き、「より一層県民世論を結集する」などとする集会宣言を採択した。
 NHKの元モスクワ支局長で現在は解説委員の石川一洋氏が両国の交渉の歴史や今後について講演した。
 石川氏は、1855年に両国の国境を択捉島と千島列島(クリール諸島)の間に定め、初めて国交を樹立した日露通好条約について紹介。ロシア帝国が極東開発のために日本と交易を開こうと、日本のしきたりに極力従い平和的に交渉を進めたことを評価した。
 一方、北方領土を「固有の領土」とする日本の領土観については、国境の移動が多い大陸国家には理解しづらく、国際法上の正当性を訴える必要があると指摘。昨今の外交については、北方四島を日露の争いの島からつなぎ目の島にするという視点の重要性を強調し、両国間の歴史問題を乗り越えるきっかけとなるような首脳会談の実現に期待を示した。
 同会議は1982年に設立。毎年2月7日の北方領土の日前後に大会を開いている。この日は約130人が参加した。

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