コラム凡語:台風と名称

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 「○年の台風○号」と言われても、なかなか思い出せないものだ。大きな被害が出た場合は、できるだけ覚えやすい名称を付ける。それが記憶を後世につないでいくことにもなる▼昨年、日本に大きな爪痕を残した15号と19号について、気象庁がそれぞれ「令和元年房総半島台風」、「令和元年東日本台風」と名付けた。1977年の「沖永良部台風」以来というから43年ぶりだ▼この間、大きな被害をもたらした台風がなかったわけではない。京都府の由良川が氾濫した2004年の23号などいろいろある。それらに名称が付かなかったのは気象庁が沖永良部台風の後、○号で統一していたためという▼その後、顕著な自然災害については、復旧活動の円滑化に加え、教訓を後世に伝えるために名称を定めるよう求める声が強まり、18年7月に指針ができた。その初の対象となった台風が、今回の二つである▼もっとも、関西空港が浸水した21号は指針の2カ月後に襲来したが、名称は付かなかった。気象庁によれば「損壊家屋等1千棟程度以上」などの指針基準に至らなかったためというが釈然としない▼あの高潮や暴風被害を記憶にとどめなくていいと考える人はどれだけいるだろう。名称を付けるかどうかの基準は、もっと柔軟にしてもよいのではないか。