グリッケンハウス、ニュル投入予定の新型GT3『SCG 004C』をシェイクダウン

 スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスは2020年のニュルブルクリンク24時間レースへの投入を予定している新型GT3カー『SCG 004C』のシェイクダウンを完了させた。

 創業者のジェームズ・グリッケンハウスは2月18日、イタリア北部のクレモナ・サーキットでSCG 004Cのファーストマイレージを記録し、その後のテストのためにレースドライバーのトーマス・マッチにステアリングを引き渡している。

 彼らが開発中の004Cは、ロードゴーイングモデルである『004S』のレーシングバージョン。2017年に、ニュルブルクリンク24時間の予選でポールポジションを獲得した『SCG 003C』の後継車となるモデルだ。

 初走行を担当したグリッケンハウスは、004Cは3月に行われるNLSシリーズ(旧VLN)のオープニングラウンドでデビューするとSportscar365に語った。

 SCGはその後シリーズ第2戦と、5月に開催される24時間レースに先立って行われるニュルブルクリンク24時間の予選レースにも参加する予定で、いずれもSPXクラスでの出場になるという。

■シボレーのプッシュロッドエンジンを採用

 004Cの心臓部にはゼネラルモーターズのLT4ブロックから開発された6.2リットルV8チューンドエンジンが搭載されている。この開発は003Cに搭載されていたホンダエンジンのチューンを手掛けたイタリアのオートテクニカ・モトリ社が担当。また、003Cの前身と同様にイタリアのレーシエンジニアリング会社、ポディウム・アドバンスド・テクノロジーズも新車両開発に協力している。

「小さなブロックのシボレー製エンジンを使用する上で興味深いのが、プッシュロッド式だということだ」と語るのは、グリッケンハウス氏。

「高い回転数は望めないが、GT3のエンジンはエアリストリクターを使用するため、そもそも非常に高い領域までエンジンを回すことが多くない。また、このエンジンは重心が非常に低くコンパクトであるため、周囲に空気を吹き付けて冷却するためのスペースが充分にあるんだ」

「我々が走っていた朝の時間帯は油温が下がってしまったため、温度を上げるためにラジエーターの一部をテープで塞がなければならなかったほどだよ」

ミッドシップレイアウトのボディに6.2リットルV8エンジンが搭載されるSCG 004C

■003Cと004Cの違い、進化したポイント

 SCG 004Cの処女ドライブを担当したグリッケンハウスは走行後、ニュルブルクリンクでの003Cのパフォーマンスを改善する必要があると述べた。

「新車での初めての走行は思っていたよりもずっと快適だった」とSCGのボス。

「003Cと比べてサスペンションのストローク量が2インチ長くなったことがいくつかの点で役に立ちそうだ」

「ノルドシュライフェ(ニュルブルクリンク北コース)では、ときにタイヤが路面を離れ、空中から着地する瞬間がある。新しいサスペンションはこの衝撃を少し和らげるのに役立つだろう」

「また004Cはローエンドトルクのおかげで、ノルドシュライフェでは003Cよりもコーナー脱出スピードが速くなる」

「さらに、我々は004Cの方がエアロバランスが優れていると考えている。ノーズのデザインが新しくなったことでより多くのダウンフォースが得られる。その結果、これまで以上に積極的に(リヤ)ウイングを使うことができるようになっているんだ」

「実際にフル規格のGT3ウイングを使用するつもりだ。以前は(前後のバランスを取るために)ウイングを少し寝かせていた。そのおかげでストレートスピードは非常に優れていたし、今もかなりのスピードがあると思う。だが、我々の新車はバランスとダウンフォースの両方が向上した」

 004Cは003Cよりも約100kg軽くなっており、グリッケンハウスはニュルブルクリンクの高速コーナーでは約25%多いダウンフォースが得られると考えている。

 SCG 004Cのトラックテストプログラムは来週も継続される予定で、今後はドライバーグループが参加する30時間のシミュレーションがスペインのモーターランド・アラゴンで行われる。

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