巨人村田2軍コーチ「もっとガツガツ」 BC栃木を経験、ファーム選手へ伝えたいこと

巨人・村田修一2軍野手総合コーチ【写真:小谷真弥】

大卒3年目・北村ら若手選手に貪欲さを求める「格好つけて野球するな。必死こいてバットを振って」

 巨人の村田修一2軍野手総合コーチが、ファーム選手たちに貪欲にプレーすることを求めた。若手時代の猛練習を振り返りつつ、北村拓己内野手らファームにくすぶる大卒3年目以上の選手へゲキ。現役時代の自身の経験を踏まえて、若手選手へ愛のあふれるメッセージを送った。

 一瞬のスキも逃さない。村田コーチは打撃ゲージ裏からサングラス越しにじっくりと観察する。コーチ2年目。ファームにいる選手たちには、もっと危機感を抱いて欲しいという。

「みんな一生懸命頑張っているが、その中で気持ちを前面に押し出してやってほしい。1軍から落ちてきた選手も『1軍に戻りたい気持ちを内に秘めてないで、外に出してこいよ』と話をしている。気持ちを前面に押し出して欲しい」

「『1人1人が責任感を持って野球をしなさい』と原監督も言っている。ファームはもっと気持ちを前面に押し出して野球をしようよと。だから26、27歳の選手が何人かいるけど、その辺りの選手が格好つけて野球をやっているようでは、1軍には絶対にいけない。こっちにいる時は必死こいてバットを振ってボールを追いかけて。ファームに調整で来ているわけではないんだから」

 村田コーチが期待を寄せるのが大卒3年目の北村拓己内野手だ。昨季はイースタンで打率.290、8本塁打、リーグ3位の66打点。しかし、1軍では5試合出場、7打席に立ったが、ヒットは出なかった。今春は一塁のレギュラー候補と期待されてキャンプ1軍スタートだったが、11日の第3クールからファーム降格となった。

春季キャンプでは1組40~50分のフリー打撃「今振っていることが将来の役に立てばいい」

「北村には1軍で頑張って欲しい。いい物は持っているから2軍でくすぶってほしくない。大卒3年目で、もうやらないと終わる。(首脳陣の)期待に応えるだけのスイング、姿勢、結果が出ていないから2クールで落ちてきた。それをどう受け止めて野球をするか。下の世代にもいい選手はいっぱいいる」

「重信だってそう。20代中盤から後半にいる選手がファームにいるってことは、もう自分の立ち位置を考えて、肝に命じてやらない限りは、いつでも自由契約になる。それぐらいの覚悟を持ってやらないと。2軍で打率3割を打っているからいいや、では野球選手としては間違っている。東京ドームで野球をやるためにユニホームを着ている。ちゃんと考えてやってほしい」

 このキャンプ中のフリー打撃では野手陣に1組40~50分と徹底的にバットを振り込ませている。「とにかく数多く振ること。質より量をこなして何かをつかんでくれたら」。村田コーチも若手時代のキャンプ中は猛練習。それが08、09年の本塁打王獲得につながったと振り返る。

「早く練習が終わるなんてことはなかった。僕も練習してたというより、させられていた記憶がある。目一杯、打撃練習をしていたし、終わっても室内でずっと打っていた。夜間も。打撃は若いうちしか振れないこともある。その中で力を抜いても遠くへ打てる力がついてきた。今振っていることが将来の役に立てばいいなと思っている」

 反面教師にして欲しいこともある。村田コーチが打ち明けたのは現役時代の実体験だ。

「現役時代は色々としてきたし、髪型も色々やってきた。尖った部分もあったかもしれないけど、それを経験した分、若い選手たちには『そういう風にならない方がいいぞ』と言い聞かせることができるから。もちろん、いい意味で」

「髪型の話は(若手選手に)いっぱいしているよ。したいんだったら、すればいいけど、成績を抜群に出さないと。先に経験しているからね。いろんなことをしたいだろうけど、やらない方が身のためだよと言っている。巨人で指導した選手は一人間として、素晴らしい人間と言ってもらえるような人間を作りたい」

BC栃木でのプレーも指導者生活のプラスに「すごくいい経験。もっともっと出来るんじゃないかと思う」

 春季キャンプも終盤戦に入る。巨人を退団した18年にはBCリーグ栃木でプレーしたことも指導者生活のプラスとなっている。

「本当に泥臭く。野球が大好きな選手たちと一緒にできて、『こうやってプロ野球を目指してきたな』という気持ちが沸き上がってきた。それはすごくいい経験になった。プロではこんな施設が整っていて、こんなにいい室内練習場がある。もっともっと出来るんじゃないかなと思う」

「ファームにいて、『巨人の選手です』と胸を張っているようでは、たかが知れている。3軍で10割、2軍で10割を打ち続ければ、(1軍行きは)間違いない。『この選手はヤバいですよ』となれば。今打っているモタだって、去年は3軍だからね。(今年は)ゲレーロとかいなくなって、そのまま支配下になって、開幕スタメンもゼロではない。そういうのを間近で見ている。もっとガツガツいこうよ」

 2軍から戦力の底上げをはかり、チームの活性化へつなげていく。(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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