諫干請求異議訴訟 差し戻し審 漁獲量巡り 主張対立 漁業者側、和解求め上申書

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 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門確定判決を巡り、開門を強制しないよう国が漁業者に求めた請求異議訴訟の差し戻し審第1回口頭弁論が21日、福岡高裁(岩木宰裁判長)であった。国は諫早湾近傍部の近年の漁獲量増加や、開門準備の対策工事が不可能なことなどを挙げ「(2010年の)確定判決に基づく強制執行は権利乱用に当たる」と主張。漁業者側は「有明海の漁業は決して回復傾向ではない」と強調し、排水門の開け方が小さい「制限開門」による和解を求めた。
 同事業を巡っては、漁業者が起こした開門請求訴訟で、福岡高裁が10年12月、国に対し「3年猶予後、5年間の開門」を命令し、当時の民主党政権が上告せずに確定。14年、国はこの確定判決の「無効化」を求め、請求異議訴訟を起こした。18年7月の二審福岡高裁では国が勝訴したが、漁業者側が上告。最高裁は昨年9月、漁業権の解釈に誤りがあるとして、高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。
 差し戻し審の口頭弁論で国は「確定判決は不確定な将来予測に基づき、5年間に限って開門を認めた特殊で暫定的な性格」とし、「(確定判決からの)時の経過」や、漁業者や営農者が起こした2件の訴訟で最高裁が昨年6月、初めて「非開門」の司法判断を示したことなど「事情の変更」を追加主張した。
 一方、漁業者側は、制限開門による和解協議を求める上申書を提出。「防災や営農にも配慮し、影響の少ない開門によって被害を低減させ回復へと転じさせることを望んでいる」とし、漁業、農業、防災を調整した解決を求めた。