「海の現実見ていない」漁業者反発 諫干請求異議訴訟 差し戻し審

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漁業被害と開門調査を訴え、入廷する漁業者ら=福岡高裁前

 「海の現実を見ていない」-。開門調査を命じた確定判決の効力を巡る請求異議訴訟が21日、福岡高裁に舞台を戻し、口頭弁論が始まった。確定判決後に変わった事情を挙げ、開門調査の必要性をあらためて否定する国に、漁業者側は怒りをにじませた。
 「どこを見て、増えたというんだ」。島原市有明町の原告、松本正明さん(68)は閉廷後、何度も首をひねった。国は「2016年以降、エビやコノシロなどの漁獲量が回復」としたが、「本当にそうなら、こんなに生活は苦しくない」と口をとがらせ、国の解釈に疑問を呈した。
 国が漁業者側に支払った間接強制金(12億3030万円)の扱いも俎上(そじょう)に載った。弁論で、国は「原告1人2734万円。漁業被害は補塡(ほてん)された」と主張。佐賀県太良町の原告、平方宣清さん(67)は閉廷後、「返せと言うなら、“宝の海”も返せと言いたい」と声を絞り出した。
 国が開門調査を不可能とする理由に「確定判決からの時の経過」を挙げた点にも不満が噴出。馬奈木昭雄弁護団長は「長期間さぼっていたら、判決を守らなくていいというのは信じ難い」とあきれた。
 一方、漁業者側が制限開門による和解協議を求めた点に対し、農林水産省幹部は17年4月の「開門せずに漁業振興基金案による和解方針」が「ベスト」と断言。「開門」「非開門」を巡る溝は埋まる気配がない。