西武栗山が激白 森友哉も一目置く“怖いリーダー”の本当の姿は…「難しい性格」

インタビューに応じた西武・栗山巧【写真:宮脇広久】

求められているのは「優等生」も…「そうじゃないことを、みんながわかってくれている」

 西武・栗山巧外野手へのインタビューの後編。チーム野手最年長で、誰もが認める絶対的なチームリーダーだが、本人は意外にも「性格的にはリーダー向きではない」と自己分析。今季目指す打撃についても語り尽くした。

 栗山のリーダーシップを表すのに、辻発彦監督をはじめチーム関係者が共通して使う言い方がある。「あのやんちゃで、先輩にも平気でタメ口で話す森(友哉捕手)が、栗山の前だけではおとなしいからね」。当の森も「怖いです。人柄も、野球に対する姿勢も、全部尊敬してます」と肩をすくめる。

――あらゆるポストの人たちが栗山さんのリーダーシップを評価している。自分の役割をどうとらえているか

「まずは自分のことです。成績を残し、与えられたポジションでしっかり結果を出す。その上で、いまチームは若い選手が多いので、お手本になるような姿勢、言動が求められますよね」

――“優等生”でいないといけない?

「期待されているのは、優等生でいることでしょうね。でも、ライオンズには、(渡辺久信)GMをはじめ、僕のことをよく知ってくれているスタッフの方々がたくさんいる。優等生であることを期待されつつ、完璧にはそうじゃないっていうことを、みんなわかってくれている だからこのチームでやれている。そんな栗山がちゃんとやるんだから、若い選手たちもちゃんとしなきゃいけない、となってくるのだと、僕は勝手に思っているんですけどね」

チームの主将には源田が就任「やっと、キャプテンらしいキャプテンが誕生した」

――自分の性格を分析すると?

「マイペースというか、結構難しい性格だと思いますよ。他人がこだわるようなところを僕は全くこだわらなかったり、逆に他人にとってどうでもいいところが僕にはすごく大事やったりとか。そういうのが、はっきりし過ぎちゃっているかなと。野球の練習も、他人がどう思おうが、自分が完璧に納得する練習をしたいんです」

――リーダーだからと、本来の自分を抑えているところがある?

「ロッカーの整理整頓ですかね。苦手なんですが、僕が散らかしていたらまずいなと。ある程度まとめておかないといかんなと。(2012年にチームの主将に就任する以前は)散らかってましたね」

――チームの主将は、栗山さんが5年間務めた後、浅村(17~18年)、秋山(19年)を経て、今季から源田壮亮内野手が就任。アドバイスは?

「いや、源田のスタイルそのままでいい。やっと、キャプテンらしいキャプテンが誕生したんですから。僕の前が中島(宏之=現巨人)さんで、僕、浅村、秋山……本来はキャプテンじゃないでしょ。みなさんが想像する野球チームのキャプテンといえば、もう源田ですよ。僕たちも安心して見てます。まだ入団4年目だけど、そんな風に全然感じさせない、落ち着きと明るさを兼ね備えている。何も心配することはないです」

――チームには山川穂高内野手、森友哉捕手ら個性豊かな選手が多い

「いや、おっしゃる通り、ホントに個性豊かな選手そろっていて、そしてまた、おのおのがうまいこと自分を生かして輝かすことができている。自己アピールすごく上手です」

「ここ数年は状況に応じた打撃を意識してきました。ただ…」

――個人成績について。昨季は3年ぶりに規定打席に到達し、打率.252。

「なぜか2割5分台が3年続いている。これはあかん。なんとか打開したいと思います」

――DHで先発した97試合では打率.240、スタメンレフトの17試合では.339と対照的だった。

「それは知りませんでしたが、DHと守る時とでは全然違います。DHのときは、自分の打撃のことをずっと考えてるんですよ。次の打席が来るまで、なんであそこであの配球だったんだろうかとか、1球1球が頭に残っちゃって。ずっと引きずっている感じです。守備に就いていたら当然守備に集中するんで、切り替えはしやすいですね」

――代打では9打数1安打(打率.111)。ただ、18年には21打数7安打(.333)の好成績だった

「代打は難しいですねえ……。考え方によっては簡単やと思うんですけど。打てなくてもともとなんで。去年代打で9の1、.111と聞いても、これは引きずらない。そんなもんだろと思います。一方、一昨年よく打ったからといって、誇れるものではない。たまたまです。ホントの代打の難しさは、シーズンが始まる前から今季は代打でいくと決めたときでしょうね。代打で飯を食わなきゃいけない立場の人は、めっちゃ難しいと思います」

――起用法を含め、今季の希望、目標は?

「起用法は監督が決めることなんで、希望はないです。打撃の内容としては、今年はどんな状況でどんな役割になっても、センター中心に低いライナーを打ち返していく、自分がこれまでやってきた打撃をなんとか1年間貫いていきたい」

――数字はともかく、状況に応じて打撃を変えられる対応力に定評がある

「確かに、ここ数年は状況に応じた打撃を意識してきました。ただ、あまりに状況に左右され過ぎるのも、いかがなものかと思い始めています。今年は、どんな状況でも自分の打撃を1本持ちながら、その上で状況に応じた打撃をしていけたらと思っています。もちろん、規定打席には立ちたいですし、立たせてもらえるくらい期待されるものを見せていきたいです」(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

© 株式会社Creative2