メクル第438号<旬感 V・ファーレン>MF秋野央樹選手(背番号17) 勝たせる選手になりたい

「キャプテンとして行動で示していきたい」と語る秋野選手

 いよいよ23日、サッカーJ2、V・ファーレン長崎の2020シーズンが幕(まく)を開けます。今、この瞬間(しゅんかん)に輝(かがや)きを放つのは-。チームの“旬(しゅん)”な選手を紹介(しょうかい)する企画(きかく)「旬感V・ファーレン」スタート。選手はピッチで何を感じながらプレーしているのか。選手の胸(むね)の内に迫(せま)ります。

 シーズン途中(とちゅう)の昨年7月、J1湘南(しょうなん)ベルマーレからV長崎にレンタル移籍(いせき)加入しました。そこから全18試合中、17試合に出場。加入と同時に、チームの中心的存在(そんざい)となりました。
 V長崎への移籍は「試合に出たい」から。結果を残し、「J1(のチーム)から声がかかるように」との思いも。その思い通り、昨季の活躍(かつやく)を見ていたJ1のチームからオフシーズンにオファーが届(とど)きました。
 でも、悩(なや)んだ末に今季の所属先(しょぞくさき)に選んだのは、J1ではなくV長崎への完全移籍。「(手倉森誠(てぐらもりまこと))監督(かんとく)の信頼(しんらい)、期待に応(こた)えたい」。自分を必要としてくれる“熱”に突(つ)き動かされました。
 試合に出る目標が達成された昨季。でも、チームは勝てなかった。「勝たせる選手になりたい」。個人(こじん)の結果だけでなく、チームの勝利への欲求(よっきゅう)がわき起こりました。その決意の表れが、今季のキャプテン就任(しゅうにん)です。監督から言い渡(わた)されました。
 「主将(しゅしょう)をしたい」との気持ちは伝えていませんでしたが、家族には話していました。「クラブが変化していく中で、自分も何か貢献(こうけん)できないか」と。プロになって主将を強く意識(いしき)したのはこれが初めてのことです。
 背番号(せばんごう)を37から17に変えたのも、そう。17はプロデビューしたJ1柏(かしわ)レイソルで、尊敬(そんけい)していた安(アン)英学(ヨンハ)選手から受け継(つ)いだ背番号。湘南でも着用しましたが、その背番号ではまだ、シーズンを通して活躍ができていません。「それを払拭(ふっしょく)したい」と意気込(いきご)んでいます。
 試合ではボランチを任(まか)されています。攻守(こうしゅ)の間で味方の選手に声を掛(か)けたり、パスを出しながら試合の流れをコントロールする重要な役割(やくわり)です。「常(つね)に冷静なプレー」が持ち味ですが、それは「自分が監督だったら波がない選手を使いたい」という考えがあるから。ぶれてはいけないチームの“幹(みき)”として、存在感(そんざいかん)を放っています。
 過去(かこ)には、センターバックやサイドバックといった守備(しゅび)をしていた時期もありました。試合中の急なポジション変更(へんこう)にも対応(たいおう)できる強みも備(そな)えています。
 厳(きび)しいトレーニングに励(はげ)んだ開幕前の沖縄(おきなわ)、宮崎(みやざき)キャンプで、大きなけがをした選手は一人もいませんでした。「だれが(試合に)出られるか分からない。いい意味で競争が生まれている。それが何よりの戦術(せんじゅつ)」と手応(てごた)えを感じています。  自らはプロ8年目で、一番いい状態(じょうたい)。絶対(ぜったい)成し遂(と)げるべき目標「J1復帰(ふっき)」に向かい、突き進んでいきます。

 ■プロフィル

 あきの・ひろき 1994年10月8日生まれ。千葉県出身。中学時代から各年代の日本代表入り。U-17ワールドカップでは8強に貢(こう)献(けん)。柏(かしわ)ユースからトップ昇格(しょうかく)し、プロデビューした。温泉(おんせん)好き。テレビ番組「テセウスの船」と「テラスハウス」にハマり中。176センチ、68キロ。25歳(さい)。

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