2019シーズン、明治安田生命J1リーグで6位に終わったサンフレッチェ広島。
開幕から5勝2分とスタートダッシュを切りながら終盤に失速。最後は優勝争いに絡むことができなかった。
そうしたなか、チームで一番ともいえる飛躍を見せたのがGK大迫敬介だ。
19歳の若さで先発に定着すると、果敢さに加え10代とは思えない安定感でリーグ戦29試合に出場。5月にはA代表へ招集され、コパ・アメリカに参戦、チリ戦で初キャップを飾った。
トップチーム昇格3年目ながら、広島の中心となりつつある大迫。Jリーグだけでなく日本代表でも注目される20歳の守護神に話を聞いた。
ミスを恐れず、トライしつづける
――昨年一年は様々なことがありました。リーグ戦では特に、5月の浦和レッズ戦(※アウェイで4-0勝利)が大迫選手にとってキーになった試合だったように思います。
相手GKの西川周作選手には昔から憧れていましたし、そういった選手とピッチで対戦できて、とても楽しかったです。埼玉スタジアム2002の素晴らしいピッチで戦えたことも誇りに思います。
あの試合で完封勝利できたこと、そして自分のパフォーマンスも悪くなかったので、すごく自信になったゲームの一つではあるかなと思います。
――自身の一番の強みは何ですか?
シュートストップのところもそうですけど、昨シーズン試合に出場し始めて、クロスなどハイボールの強さは身についてきたと感じます。
試合でトライをしながら、もちろんミスもありますけど、トライしつづけることでうまくいくプレーが増えました。それが自信にもなり、次に同じようなシチュエーションが来た時にトライできたりと、良い循環が生まれたのではないかなと思います。
――ハイボールの際に注意していることは?
僕は弾くよりもキャッチに行く意識を強く持っています。
キャッチすれば相手の攻撃をそこで終わらせることができますし、なおかつ攻撃のスタートにいち早く転じることもできます。これはGKにしかできないことだと思うので、「ボールを掴むこと」にはすごくこだわりを持っています。
――どの時点で弾くか掴むか切り替えられるものなんですか?
僕はギリギリまで、難しいボールでもできるだけ掴みにいくことを考えています。なので、今まで弾いていたボールを掴めたりすると、また新しい自分に気づくことができたりするのでそういった部分は楽しいですね。
――逆に課題はどこでしょう?
一つ一つのプレーのクオリティをもっと上げられると思いますし、GKからのビルドアップはもっともっと精度を上げたいです。
――参考にしている選手はいますか?
それこそ、西川周作選手は後ろからの繋ぎも上手いですし、よりゴールに直結する、観客を魅了するようなボールも出すことができる選手なので見習っている部分はあります。
――以前、マヌエル・ノイアー選手を挙げていたこともありましたね。
ノイアー選手は守備範囲がすごく広いですね。DFラインの裏に出てくるボールの処理はGKにとって一番難しいといっても過言ではありません。
ただ、そういったところにトライをしつづけないと成長もないですし、ミスを恐れずにトライしていきたいと思います。
――新しいユニフォームに袖を通す瞬間はどんな気持ちですか?
新鮮な気持ちになりますし、今年は特に柄が入り、今までとは違う感じのユニフォームなのですごく楽しみです。
――ユニフォームは派手なデザインと地味なデザイン、どちらが好き?
今までシンプルなものしか着たことないので、こういった柄が入ったユニフォームは新鮮です。
昨シーズンはGKのユニフォームが3色あったんですが、アウェイに行って普段と違う色のユニフォームを着たりするときは結構テンションが上がりました。
――チームカラーの紫を着たことは?
まったくないです。練習が終わった時など、普段キーパーは別の色ですけどフィールドが着ていた紫のウェアとかを着ると、若干違和感があります(笑)。
――今シーズン、フィールドプレーヤーのアウェイユニフォームは日本の国旗をコンセプトにした白・赤・白のユニフォームです。
すごくかっこいいと思いました。新鮮ですし、試合で早く見たいです(※16日に行われたルヴァンカップ、アウェイでの横浜FC戦で初使用!)。
――GKで白はまず着ないですよね?
白はないですね。赤のユニフォームは2019シーズンのサードだったので何回か、ピースマッチ(※8月3日の北海道コンサドーレ札幌戦)などで着たりしました。赤を着たのは初めてだったんですけどデザインも色もかっこよかったです。
今年は東京五輪がありますし、そういったなかで国旗をイメージしたユニフォームを着てサッカーができるのは楽しみですね。
活躍したキーパーは必ずチェック!
――SNSでファンの人の反応などを結構見るタイプですか?
見たりしますね。いい時も悪い時も。叩かれている時はあまり見ないですが、いろいろ意見がありますし、参考にしながら見ています。
――ニュースや試合映像などもチェックします?
読みますね。自分やチームのものだけでなく他のチームなどを含め、記事を読むのは結構好きです。国内外を問わず。
試合後の選手のコメントを読むことが多いですかね。特にキーパーが「どういった考えでプレーしているか」など。
映像は海外も観ますが、僕はどちらかというとJリーグを観ることのほうが多いです。
キーパーが活躍していると記事になるじゃないですか。それで「あ、キーパーが活躍したんだな」という試合を観たりしますね。どういったプレーをしていたのか気になります。
――森保監督の3バック、GK目線でやりやすさなどはありますか?どういったところに気をつけているかなど。
僕の場合はサンフレッチェでも3バックでやっているので、特に違和感は何もなく、いつも通りやっている感じですね。
クラブと代表ではもちろんやり方に少し違いがありますし、代表では初めて一緒にプレーする選手ばかりなので難しさもありますけど、練習の時からすり合わせをしっかりするようにしています。
――ボールを保持したあと、誰に渡すかは相手のポジションを見て決める感じですか?
相手と味方の関係を見ながら判断することが多いですね。
――試合で「ここ、嫌だったな」というスタジアムはありますか?
昨シーズンのACL、韓国の大邱FCとアウェイで対戦したんですが、できたばかりのスタジアムでサポーターの声も響くせいか声がなかなか通らず、観客が飛んだりすることでスタジアムも揺れてすごくやりづらかったです。
Jリーグとはまた違う独特なアウェイの雰囲気で、それが楽しくもありましたが、難しい試合でした。
――では最後に2020シーズン、クラブと個人での目標をそれぞれ教えてください。
まず個人としてはリーグ戦を含めて試合にコンスタントに出つづけたいです。オリンピックの舞台に立つためにもクラブでのパフォーマンスが大事になってくると思いますし、僕自身が昨年、そういったところで活躍することでA代表にも呼ばれたと実感しています。
昨シーズン以上のプレーをしたいですし、それがクラブの結果にも繋がると思うので、上位争いに食い込んで、最後いい結果で終わりたいです。
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大迫 敬介
1999年7月28日生まれ(20歳)
サンフレッチェ広島所属
日本代表2試合出場0得点