ロッテ開幕投手にFA移籍の美馬が名乗り どうなる、絶対的エース不在の争い

ロッテ・二木康太、種市篤暉、美馬学、石川歩(左から)【写真:荒川祐史】

井口監督「どうでしょう……はい、どうでしょう?」

 今年のロッテでは、いまだプロの実戦で1球も投じていない、最速163キロのドラフト1位ルーキー・佐々木朗希投手が注目の的だが、それを横目に開幕投手争いがいささか地味に展開されている。

 22日に高知・春野で行われた西武との練習試合には、楽天から3年総額5億円でFA移籍してきた美馬学投手が初登板。先発して2回2安打1四球1失点にまとめ、「右打者の外角球がシュート回転する課題が出たので、次の登板までに消していけたら」と納得顔だった。ロッテのユニホームについては「外から見てないので実感はないですが、やっと一員になれたかなとは思っています」と笑顔をのぞかせ、さらに報道陣から開幕投手への意欲を問われると、「まあ、任されたら、と思っています」とうなずいた。楽天時代に1度、2017年に開幕投手を務めた経験がある。吉井理人投手コーチは「順調だと思います。球が強かった」と評した。

 対照的に、昨季チームトップタイの8勝(2敗)、防御率3.24の好成績を挙げ、開幕投手候補の1人である21歳の種市篤暉投手は、2番手で登板し3回5安打5四球6失点と乱れた。井口資仁監督が「制球がバラバラで、スピードも出ていない。まだ1か月くらいあるんで、なんとか本来の形に戻してほしい」と厳しい言葉を並べたほどだ。

 昨季、パ・リーグで規定投球回数(143回)を突破した投手はわずか6人。美馬はその貴重な1人だが、防御率4.01は6人中ワーストで、投球回も143回2/3とギリギリ。ロッテには規定投球回数突破者が皆無で、最もイニング数を稼いだのは、128回2/3を投げ7勝10敗の二木康太投手だった。

 ロッテの開幕投手は10年から5年連続で成瀬善久投手(現BCリーグ・栃木)、15年から4年連続で涌井秀章投手(現楽天)が務めた。昨年は初めて石川歩投手が担ったが、シーズンは8勝5敗、防御率3.64だった。

 今年3月20日の開幕投手争いは美馬、種市、二木、石川あたりが中心になるが、残念ながら絶対的エース不在で“どんぐりの背比べ”といわれてもしかたがないだろう。

 井口監督は報道陣の質問を「どうでしょう……はい、どうでしょう?」と煙に巻いたが、3年契約最終年で初のCS進出がノルマとなる今季のオープニングを誰に託すのだろうか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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