ツシマヤマネコ90匹か100匹 減少に歯止めか 環境省が生息状況調査 

 環境省は22日、対馬市にしか生息しておらず、絶滅の恐れがある国天然記念物ツシマヤマネコの生息状況調査結果を7年ぶりに発表した。最新の推定値は「約90匹か約100匹」と前回とほぼ同規模で、同省は「減少傾向が止まった可能性がある」と分析している。
 ツシマヤマネコは1960年代には250~300匹いたとされており、生息数調査はツシマヤマネコ保護増殖事業の一環で80年代から実施している。調査は個体の保護や自動カメラ撮影、ふんなどの痕跡収集などを総合して行っており、前々回の2000年代前半時点は「約80匹か約100匹」、前回の10年代前半時点は「約70匹か約100匹」と推定していた。
 対馬は主に北部の上島、南部の下島からなり、同省は両島を計107カ所に区分けして分析している。今回は18~19年度にかけて調べ、下島ではツシマヤマネコの生息確認ができた地域は前回の4カ所から8カ所に拡大。上島では前回と同程度の63カ所で生息が確認され、ほぼ全域に分布しているとみられる。
 同省対馬野生生物保護センターの山本以智人・上席自然保護官は「多くても100匹では、依然として絶滅の危機にあることに変わりない。引き続き、野生生物との交通事故防止や野犬対策を呼び掛けていきたい」としている。

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