“3戦連発”鷹の育成リチャード、3年目の進化 「雑念しかなかった」男の変貌

オリックスとのOP戦でHRを放ったソフトバンクのリチャード【写真:福谷佑介】

ここまで紅白戦、練習試合と合わせて実戦5試合で打率.462、3本塁打

■ソフトバンク 10-4 オリックス(オープン戦・23日・SOKKEN)

 支配下昇格へ猛アピールを続けている。ソフトバンクの育成選手である砂川リチャード内野手、20歳だ。20日の紅白戦で実戦初本塁打を放つと、22日のB組練習試合でも本塁打。そして、23日に行われたオープン戦初戦のオリックス戦でも特大の本塁打を放った。これで“3戦連発”となった。

 オープン戦“開幕戦”で放った一発も強烈だった。「8番・三塁」でスタメン出場し、8回2死走者なしでの第4打席だった。2ボール1ストライクから神戸が投じたインサイドの真っ直ぐを完璧に捉えた。打球は弾丸で飛んでいき、左翼スタンド最上部のコンクリートでバウンド。そのまま場外へと消えていった。スタンドのファンの度肝を抜く特大の本塁打になった。

 2017年の育成ドラフト3巡目で沖縄尚学から入団し、今季が3年目。飛距離だけなら、球界を代表するスラッガーである柳田悠岐外野手をも凌ぐと言われるパワーを誇る。とはいえ、昨季はウエスタン・リーグで出場したのは8試合だけ。打率.077、0本塁打1打点に終わっていた。

 ただ、今年はここまで紅白戦3試合、B組の練習試合と合わせて実戦5試合で13打数6安打3本塁打、打率.462と結果を残している。何が、リチャードを変貌させているのだろうか?

 オリックス戦後、リチャードはこう語っている。

「今はパッと切り替えられるようになった」

「打撃コーチと1打席1打席を振り返ったりしていて、頭を整理しやすくなった。それを自分でもできるようになって、自分で考えられるようになってきました」

「去年は打席で雑念しかなかった。1球目に空振りしたら『空振ったな、空振りしてしまったな』と思ってる内に2球終わっていて、追い込まれて『次はカーブかな、フォークかな』と思っている内に投げられていた。今はパッと切り替えられるようになった」

 どんなバッターでも打席の中で迷いが生じれば、思い通りのバッティングはできないもの。リチャードはこれまで打席の中で、前の打席やボールを引きずり、その打席、その1球に集中できていなかったのだという。

 それがここまでは次の1球への集中力が高められている。本塁打の打席でも、ボール先行だったこともあり、真っ直ぐに狙いを定め、それを一振りで打ち返した。「怖がらずに打てましたね」。成長した部分を感じさせる一発だった。

「アピールにはなったと思いますけど、育成の立場なのでこれでもかというくらいに打たないといけない。まだまだです」と語ったリチャード。まだまだ荒削りではあるものの、ロマン溢れる大砲候補に期待せずにはいられないだろう。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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