特集は「量り売り」です。「必要なものを、必要な分だけ」と、昔からあるものですが、いわゆる食品ロスも防げると、改めて見直されています。評判のパンの量り売りなど「最新事情」を取材しました。
善光寺門前に店を構える「肉の店 牛見」。1943年・昭和18年の創業です。販売は昔ながらの量り売りです。
客:
「融通が利くというか、食べたい分だけ買えるのでいいですね」
「必要以上に頼まなくて済む」
(記者リポート)
「こちらのショーケースには総菜が並んでいます。肉だけでなく、和え物や煮物など総菜も量り売りを行っています」
ケースに並ぶ総菜は、酢豚、しいたけのうま煮、いなごのつくだ煮など毎日10種類余りです。
こちらの2人は大学生。ともに一人暮らしでよく店を訪れるそうです。
一人暮らしの大学生:
「鳥レバー(のしぐれ煮)を100グラムで」
総菜の量り売りは、一人暮らしや高齢者世帯の要望に応えようと、30年ほど前から行っているということです。
一人暮らしの大学生:
「欲しい分だけもらえるのでありがたい」
「ちょっとの量を買えるので便利でいい。助かっています」
肉の店牛見・石坂ひろ子さん:
「家族が少なくなって、たくさん作るのが大変だから、こういうものがあると助かると喜んでもらっている」
仕事帰りに購入する人も多いということで記者も…。
記者:
「しいたけを50グラム」
自家製のコロッケやカツは注文を受けてから揚げています。ほうれん草のごま和えなど3種類の総菜を50グラムずつと揚げたての豚カツ。合わせて595円でした。
記者:
「トンカツに野菜、キノコとバランスが良さそうです」
肉の店牛見・石坂ひろ子さん:
「とても上手に買っていただいて良かったです」
一方、量り売りはパン店でも。上田市のルヴァン信州上田店は1989年に東京に店を構えた上田市出身のオーナーが2003年、地元で開いた2号店です。天然酵母のパンが人気で、連日、にぎわっています。
(記者リポート)
「店頭には10種類以上のパンが並んでいますが、そのほとんどの値札に、グラム当たりの金額が記載されています」
こちらの店ではパンの値段は重さで決まります。客に欲しい量を言ってもらい「はかり」に乗せて値段を出すのです。
記者も「量り売り」で購入…。
記者:
「フランスパンを半分と、カンパーニュを大きい方で4分の1ください」
ルヴァン信州上田店・太田希さん:
「3つで691円です」
記者:
「いろいろなパンから好きなパンを食べきれる分だけ買えるのは、量り売りならではで、うれしいですね」
ルヴァン信州上田店・太田希さん:
「たくさん買っちゃうと余らせてしまうというお客さんもいると思うので、好きな分だけ買えるようにという思いで始めた」
食卓に必要な分だけ買うことができるためいわゆる食品ロスがなく客からも好評です。夫と2人暮らしの女性は…。
夫と2人暮らしの客(注文):
「じゃあ向こうのを半分くらいお願いします」
夫と2人暮らしの客:
「あんまり大きいのを買っても、2人暮らしだとやっぱり…。助かります、おいしいパンたくさん買えるので」
ざっくり、人数を言って買うこともできます。
松本から:
「2種類(のパンを)人数分、お願いした。好きな分だけ買うことができるので、利用しやすい」
ルヴァン信州上田店・太田希さん:
「(大きいパンでも)『量り売りなので』と提案すると、じゃあちょっとでいいやと買っていく。たくさん買って食べきれなくて捨てちゃうということがないのはいいと思う」
量り売りは寒天の産地でも。80年の歴史を持つ寒天製造販売のイリセン。生産現場を案内するツアーも行っていて、観光客が足を運んでいます。
(記者リポート)
「訪れた人から人気を集めているのがこの工場でつくられた、寒天の量り売りです」
工場に併設されている店舗では、去年から気軽に購入してもらい寒天のPRになればと「量り売り」が行われています。
イリセン・茅野文法代表取締役:
「話題的にも面白いということで(寒天を)広めていけたらと」
通常30センチほどある棒寒天を5分の1の大きさにして、生産期は限定価格の1グラム10円で買うことができます。包装などにかかるコストを削減できるため、通常より割安です。
宮城から:
「たのしかった」
「(寒天の量り売りは)初めて見ました。好きな分だけ取れるのでいいと思う。スープに入れて食べられたらいい」
袋詰めの楽しさも加わり、観光客に人気です。
イリセン・茅野文法代表取締役:
「圧倒的人気が『量り売り』。触っていただくことで寒天を身近に感じられる」
食品をおいしく、無駄なく、楽しく。「量り売り」が見直されています。