笑顔運ぶハマのトゥクトゥク 港町名所、インスタ映え案内

足立さんが運転するトゥクトゥクは街ゆく人の注目の的だ=横浜市中区

 ダンス音楽に合わせ、滑るように走りだす。信号待ちで止まると、通行人が目を丸くする。LED(発光ダイオード)ライトで縁取られ、まばゆい輝きを放つ真っ白な車体の電動三輪車「トゥクトゥク」が横浜を駆ける。バーハンドルを握るのは「ネオスタイルラボ」(横浜市保土ケ谷区)社長の足立吉雄さん(48)だ。名所を案内し、写真を撮影するサービス「YOKOHAMA TUK×2(ヨコハマ トゥクトゥク)」を手掛ける。「横浜一の派手な車でハマを盛り上げたい」。昼夜、魅力あふれる港街に彩りを添え、人々の笑顔を運ぶ。

 保土ケ谷区で生まれ育った足立さんが、トゥクトゥクで地元の名所を巡るようになったのは2018年8月。祖父の代から続く老舗玩具店の跡取りとして尽力していたが、近隣の大型店舗に売り上げを奪われ、30代後半に閉店を決意した。

 大好きな横浜に関わる仕事がないかと街を見渡すと「空には横浜スカイクルーズ(ヘリコプター)、海にはシーバス(海上連絡船)、陸にはあかいくつ(バス)と、観光地を巡るものがある。参入できないか」とひらめいた。斬新なアイデアを思案し、タイ旅行の際に見掛けたトゥクトゥクに目を付けた。エンジンを掛け、アクセルを回すだけ。日本国内の販売店で車体を240万円で購入した。

 フロント部分にLEDライト、車両内側の天井に赤や緑色に変化する電飾とミラーボールを設置するなど愛車を飾った。通常の後部座席は運転席の背後に横一列に設置されているが、リムジンをイメージして対面式にしたのもこだわりだ。「リムジンはスモークで風景が見えないが、トゥクトゥクは景色も風も楽しめる。少し高い車高も異空間を味わえる」と、世界に1台の出来栄えに胸を張る。

 雨天時は屋根からビニール製のほろを下げれば、季節や天候を選ばず利用できるのも魅力だ。

 客の運搬が目的の無許可のタクシー営業「白タク」と異なり、横浜中華街(同市中区)やみなとみらい21(MM21)地区で写真撮影が楽しめる“インスタ映え”のスポットを案内し、写真撮影をメーンに据える。2種類のプランをベースに季節などに応じてアレンジも。客は乗降地と撮影場所をリクエストできる。

 相模原市在住の今井優衣さん(28)は夫の裕太郎さん(29)、娘の結月(ゆづき)ちゃん(4)、息子の結陽(ゆうひ)ちゃん(3)と家族4人でMM21地区を巡った。「プロポーズをされたのがみなとみらい。思い入れある場所で、すてきな思い出ができた」と目を輝かせていた。

 トゥクトゥクは、日頃の観光はもちろん、特別な日も演出する。足立さんは「桜の開花時期は名所の大岡川沿いを走るコースが人気。ブライダルにも活用してほしい」と話している。

 インスタント写真撮影付きで30分6千円から。定員は最大6人。問い合わせ・予約はネオスタイルラボ電話070(4539)2929。

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