東京湾2~3月バチ抜けシーバス攻略のカギは「大潮3日目からの3日間」湾奥アングラー必見!!

ソルトウォータールアーターゲットとして全国的人気を誇る「シーバス(スズキ)」。なかでも東京湾(神奈川、東京、埼玉、千葉)はルアーシーバス発祥の地。湾奥や干潟、河川、磯など様々なシチュエーションを擁しており、全国的にも“激戦区”と言われています。そんな激戦区を知り尽くす、大手釣具店チェーン・キャスティングのカリスマ店員・小出慎さんに、前月の釣果状況を踏まえ、翌月の釣果予測&オススメルアー&オススメエリアを予想して頂きます!

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解説して頂くのは2020年もシーバス絶好釣! なカリスマ店員!!

【Profile】
小出慎(こいで・まこと)さん
キャスティング日本橋店・副店長。東京湾のシーバスアングラーならその名を知らぬ人はいないカリスマショップスタッフで、確かな腕と豊富な経験、莫大な知識が武器。今年も新年早々から沖堤にて良型シーバスをキャッチ! そして最近好調のタチウオジギングもエンジョイしているとかww

バチ抜けが始まっていた1月の東京湾シーバス状況

ルアマガ+ 「暖かい日が続いたら、いきなり寒くなるなど寒暖差の激しい1月でしたが、東京湾の状況はいかがでしたか?」

小出さん「1月は昨年末と同じく港湾部に魚が残っていて、豊洲などのベイエリア付近で小さいルアー(シンペンやワーム)でサイズはフッコクラスまででしたが、いい日は20尾ぐらい釣れたりもしました。ブログを見てる方はご存知かもしれませんが、大野ゆうきさんもよく釣れていたと言ってましたね

ルアマガ+「 まさに予想したとおりの状況ですね!

小出さん「そうなんです! 港湾には5cmぐらいのイワシがいて、明暗などでは時折ボイルもしてたとか! ガルバスリム(DAIWA)、ワンダー(ラッキークラフト)などの小型のシンペンで釣っている方が多くおられましたよ。

河川も先月話していた通りの「1本勝負」。上手な方は釣っていて、メータークラスが出たという話もありました。1月の河川は居付きの個体と産卵から戻ってきた個体で本当にポツポツと上がっていた感じですね。

でもやはり港湾をやっていた方が楽しんでいましたね。港湾の魚は産卵に関係なく、イワシについていて元気が良く、しっかり食べていたというのが1月ですね。サイズもMAXで50cm、アベレージで25~30cmぐらい。今も港湾部はそんな状況を継続しているのですが、1月に比べれば釣果は落ちています。これからバチ抜けが始まるのでイワシパターンでの魚は減っていくと思います。

1月のバチ抜けは、1発目は千葉エリアのみ。湾奥でもバチが抜けたのは確認されたのですが、魚はついていませんでしたね。千葉は1月の第2週目ぐらいの大潮で、ポツポツとバチが抜けていていい魚を釣っている人もいましたね。千葉は東京湾でも若干始まるのが早いんです。

東京エリアも1月25日の大潮回りからすごいバチ抜けをしていましたね。それは僕も見に行って
いて、オカッパリで1尾釣りました。でもまだあんまり魚はついていない感じでしたね。バチの量はかなり多かったんですが、地合いが短くて、15分ぐらいしかなかった。産卵から戻ってくる個体がまだ少なかったのもありますね」

小出さんの今年のバチ抜け初フォッシュ!

2月からバチ抜け本格化ですが、ズバリ大潮周りのバチを狙うべし!

バチ抜け以外にも覚えておくべきパターンあり

ルアマガ+「ではいよいよバチ抜けパターンが本格化しそうな2月~3月前半にかけての東京湾ですが、どのように攻略すれば良いのでしょうか?」

小出さん「これからの時期は僕もかなり得意なんですが、バチ抜け以外にも実はいくつかパターンがあるんですよ」

ルアマガ+「えぇ!? この時期の東京湾というとてっきりバチのイメージが先行してあるのですが……それは港湾と河川どちらかのパターンなんですか?」

小出さん「いえ、両方なんです(笑)。では順を追ってご説明しましょう!」

バチ抜けのピークは大潮3日目からの3日間

まずはバチパターン! 河川のバチ抜けはズバリ『大潮3日目からの3日間』ここがバチ抜けのピークで狙い目です!

小出さんが撮影した昨年の東京湾のバチ抜け写真。

ルアマガ+「これは港湾、河川両方において当てはまるのですか?」

小出さん「いえ、河川のみです。2月~3月前半のバチ抜けは河川でしか出ないんですよ。僕自身、このことは明かしていないんですが……これで釣れなかったら運が悪かったということでw 大潮の3日目からの3日間は必ずバチが出るんで!

ルアマガ+「よく月が出てないとバチが抜けないとも言ったりしますが……」

小出さん「関係ありません! そこは絶対出ます!(どこかで) バチは寒くなろうとも雨が降ろうとも、いろんな条件があっても先述した3日間であれば出ます。ただし、雨が降ったりして冷え込んだりするとシーバスがバチへ辿り着けないんです。

2月のシーバスは常に河川にいるわけではなくて、温かい海のほうにいて、バチの気配を感じてタイミングになると海や河川の下流域から差してくるんです。ただ寒すぎるとシーバスが動かない。そうなるとただバチが出て流れて、下流にいる個体がちょっと食べるくらい。

なので、2月~3月前半のバチ抜けのキーは、バチとシーバスが出会うところがポイントとなります。

バチ抜けしている現場はシーバスがお腹いっぱいになってしまって喰わなくなる

バチが出ていて、海から遡上してきたシーバスと巡り合う場所が1番釣れます。あとはそのエリアにいるバチの濃さ。たくさんバチが抜けている場所で頑張って釣りをしても時合いが短い。なぜならばシーバスはバチをたくさん食べてすぐお腹いっぱいになってしまうから。

濃いエリアからパラパラと支流に分かれて、その場所にいるシーバスに程よい量で流れてくるエリアだったら数が釣れます。バチが抜けすぎていてもシーバスがルアーに反応しにくくなって釣れないし、程よいところを見つけられればバチ抜けは釣れます。

しかもサイズも大きいのが混ざるのが2月~3月前半のバチ抜けのいいところで、産卵を終えたアフターの魚が離乳食ではないけど、動かなくても簡単に捕食できるベイトとして食べられるのが流れてくるバチなので2月はランカーチャンスでもあるんです

秋は90アップを掛けている人は多いのですが、大半はバラしているんですよ、産卵に備えてベイトをしっかり食べているコンディションの良い個体はかなりファイトが強い。それに対し、2月は大きいサイズを掛けても秋みたいに元気があり余っているわけではないので、さほど引かず、キャッチできる可能性は高いです(笑)。長さでランカーを狙いたい人は1番いい時期かもしれませんね。PEラインも秋より細くてもOK!

そしてよ~くタイドグラフとにらめっこすると、釣れるタイミングは満潮時刻がちゃんと暗くなっている時間なんですよ。ただこれが地方に行くと変わってしまう、千葉とか神奈川に行くと大潮3日目の満潮時刻が明るかったりする。そうするとその河川では出なくなってしまいます。なのでその河川は翌日が良かったりしますね。東京は大潮3日目から、これは毎年一緒です。暗くなったときに満潮を迎えることが大前提。あと潮位もタイドグラフ通りなんですが、潮位が低すぎるとバチは出ないのでご注意を!」

上げ潮は「アミパターン」を狙うべし!

小出さん「そしてもうひとつ2月に忘れてはいけないのがマイクロベイトのアミパターン」

取材時に発生したアミ。

小出さん「アミはエビのようにも見えますが、プランクトンの一種で、この時期になると河川河口域から中流域に発生します。海水が差してくるような上げ潮とこの時期冷やされた河川の真水とがぶつかると微生物が生まれます。それを栄養とするアミが上げ潮とともに集まってくるんです。

2月~3月にかけてはバチも含めて河川ではベイトが湧く時期。なのでバチが出ない日はシーバスはアミを食っている可能性が高い。そうすると上げ潮だけでなく、下げ潮でもアミが湧いてればアミを喰う個体もでてきます。

去年ちょうどこの時期に他誌で対決企画があったのですが、下げ潮のバチ抜けパターンで河川で釣りをしてから、潮が上がり始めるタイミングで河口域の上げ潮に乗ってくるアミパターンでシーバスを狙うという2つのパターンで釣りをしましたよ」

アミを捕食したシーバス。

回復系の魚を狙う「ベイトパターン」

小出さん「さらにもうひとつパターンがあって、アミが湧くと、アミをエサとしているシーバス以外の魚も元気になります。河川であれば淡水魚だったり、海であればコノシロやボラ、イナッコなど。シーバス以外の魚も河川に寄りやすくなるんです。

そうすると、回復しているシーバスたちも今度はその違う魚もベイトにするんです!

だから意外とこの時期は僕なんかもアミパターン用のシンキングペンシルだけでなく、イナッコサイズの120mmクラスのミノーもボックスに忍ばせていますよ。逆に大きいルアーを使用していると、いきなり回復した大型の個体が釣れたりもします」

小出さんの先日の釣行での釣果。アミやイナッコが混在するなか、モアザンシャロール115F(DAIWA)でキャッチしたグッドコンデイションのシーバス。

小出さん「2月はパターンがいっぱいあって下げ潮でバチパターンをやり、上げ潮でアミパターンをやって、潮の上げ始めや下げ始めでベイトフィッシュがいるところであれば、ベイトっぽい釣りもできるので非常に忙しい(笑)

産卵を終えて回復していく段階でエサを徐々に喰ってくる時期なので、お粥みたいなエサもあれば歯ごたえがある栄養たっぷりの病院食もあると(笑)。いろいろな狙い方ができる楽しい時期です♪

両パターンで釣りをしたいのであれば狙い方のスイッチとして、流れを利用して喰うようなシーバスにはバチパターンやアミパターンで、逆に流れがない、淀んでいる場所で釣りをするのであれば、ベイトパターンの釣りをすればでかいのが喰ってきます。

自分もこの時期はルアーをバチやマイクロベイト用、そして大型ミノーといろいろ持っていきますね

港湾部も今後期待大⇧⇧

ルアマガ+「河川のお話が中心でしたが、港湾部はどうでしょうか?」

小出さん「港湾部はどちらかというと、1月から引き続きイワシなどのマイクロベイトを追っかけます。通常ならばクリスマスぐらいで港湾部の釣りは落ち着くのですが、今年は水温が高いので産卵に絡まない小型のシーバスは港湾に居続けています。

そして先述した河川と同じく、2月になればマイクロベイトとかアミとかエサが春に向かって増える時期なのでその匂いを嗅ぎつけてシーバスも戻ってきます。深いところにいたシーバスが徐々に動き出すのが2月。ただそれが今年は1月の間も釣れていたので引き続き2月も極端な寒さにならなければ釣れちゃうんじゃないかなと。海水温12~13℃を保っていれば。

2月後半になれば産卵から回復した個体が入ってきてアベレージも上がってくるかもしれませんね」

小出さんおすすめ!バチ&アミパターンルアー

小出さん「2月のバチ抜けは川バチなので皆さまがイメージされている表層だけではなく、特に渋い状況では表層ではなく、中層にいることが多いです。いわゆる「底バチ」なのですが。その状況に合わせるためには「フローティング」と「シンキング」モデル両方のバチルアーを持っていて欲しいんですよ。

フローティングは、エリア10(ガイア)モアザンスライ95F(DAIWA)、そしてシンキングですが表層を引けるアルデンテ95S(アイマ)がオススメです。

あと新作ルアーのマッチボウ100F(リード)、ゆっくり巻いていればロール主体のアクションでバチやアミをイミテート、速く巻くとテールアクションで小魚のような動きも出せる万能ルアーです!」

小出さんおすすめフローティングタイプのバチルアー。左からモアザンスライ95F(DAIWA)、エリア10(ガイア)、アルデンテ95S(アイマ)、マッチボウ100F(リード)

小出さん「中層を探りたい、ちょっと沈ませて流したいという状況であれば、エリア10のシンキングモデルEVO(ガイア)にょろにょろ125(ジャクソン)フィール150SG(リード)、あと個人的にお気に入りなのが、前月のマイクロベイトパターンでも紹介したガルバスリム(DAIWA)、これもシンペンなので中層を引くことが可能です。竿を立てれば表層も引けるし、両レンジ狙えるので特におすすめですね」

小出さんおすすめシンキングタイプのバチルアー。左からガルバスリム(DAIWA)、フィール150(リード)、にょろにょろ(ジャクソン)、エリア10EVO(ガイア)

小出さん「アミパターンは、中層でブリブリと泳ぎすぎないシンキングペンシルが主体となります。代表的なルアーとしてはカーム110(アイマ)。棒状のシルエットで、沈めて、中層でヘロヘロした動きであまり波動を出さずに引けます。あとはバチパターンで紹介しているガルバスリム(DAIWA)や深いレンジを誘うことのできるトラビス7(メガバス)もおすすめです」

小出さんオススメのアミパターンルアー。左からガルバスリム(DAIWA)、カーム110(アイマ)、トラビス7(メガバス)

小出さん「他にもリップ付きシンキングペンシルの代表格・マリブ(マングローブスタジオ)や、前回のマイクロベイトパターンでも紹介した元祖シンキングペンシル・ワンダー(ラッキークラフト)とかも良いですね。

共通しているのは、シンキングペンシルタイプであまりバタバタ動き過ぎないもの。そして中層レンジをキープしながらしっかりドリフトできるもの。なのでアクションがローリングタイプのものになりますね。リップがついてブリブリ動くようなルアーはNGです」

ルアマガ+『トラビス7(メガバス)』はアミパターンを代表するルアーですが、少し難しそうなイメージがあって……どのように使えば良いのでしょうか?」

トラビス7(メガバス)

小出さん「トラビス7はレンジの深いアミパターンを攻略できるもので、深いレンジをキープしながら操作できる唯一無二のルアーといっても過言ではありません。

とにかくレンジをキープできるルアーがアミパターンでは重要になってくるのですが、トラビス7は特に水深のある隅田川や中川のアミパターン攻略に長けていて、水深が3m以深の足元から深い港湾部や人工的な河川でのアミパターン攻略用ルアーなんですよ。

リフト&フォールでも釣れるんですが、このルアーの真骨頂は先述したような深い場所での一定レンジをキープしたドリフトなんです。少し上級者向けのルアーですが、先述したシチュエーションのような場所であれば持っておきたいですね」

小出イチ押し!! モアザン ガルバスリム80S(DAIWA)

カラーセレクト。左からバチパターンにうってつけな「モンスターグリーン」、どんなシチュエーションにもマッチする「ピーチギーゴ」、そして東京湾のバチ抜けの代名詞的カラー「江戸前パール」、そしてアミパターンのシークレットカラー「江戸前コバチ」。モアザンガルバスリムはこの時期どのパターンにも万能に使えるシンキングペンシル! ボックスに必ず忍ばせておきたい!

バチパターン、アミパターン、マイクロベイトと季節問わずさまざまなシーンで使用できるガルバスリムは小出さんイチ押しのルアー。

キャスティングでは現在小出さん考案のオリカラ、バチパターンにうってつけな「江戸前パール」そしてアミパターンのシークレットカラー「江戸前コバチ」を販売中!

なかでも「江戸前コバチ」はこれからの激戦必至の東京湾でアミパターンの最終兵器として特におすすめしたいとのこと。

小出さん「江戸前コバチはボディがブラックカラーになっているんですが、この色は魚に見えず、ベリー側のリアフック部分の白いカラーで喰わすんです

小出さん「他のカラーでバイトはあるけど、乗らなかったりしたときにこのカラーを投げてみてください! ルアーの波動は出しながらもシルエットを消すことでスレたシーバスも喰ってきますよ!

キャスティング日本橋店ではバチパターン、アミパターンルアーのラインナップも豊富! わからないことがあればしっかりと店員さんに相談し、状況にあったルアーをチョイスしてもらいましょう!!

次回はさらにベイトが混在し、セレクティブになった春の東京湾シーバス攻略法をお届け致します。

そして明日2月25日(火)はなんと大潮3日目! そして満潮時刻も夕方17時とバッチリなタイミング!!! 東京湾シーバスアングラーの皆さま、明日から3日間は狙い目ですのでぜひとも足を運んでみてください!!

DAIWA

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