願い継承・決意新た 二重被爆・山口彊さんの「没後10年の会」

故山口彊さんの体験を紙芝居で紹介するひ孫の原田晋之介さん=長崎市興善町、市立図書館

 広島、長崎で原爆に遭った長崎市の「二重被爆者」で、2010年1月に93歳で亡くなった故山口彊(つとむ)さんの「没後10年の会」が23日、同市内で開かれ、参列者が故人の反核平和の願いの継承へ決意を新たにした。
 山口さんは1945年8月6日、三菱重工業長崎造船所(同市)の設計技師として派遣されていた広島で被爆。やけどを負い長崎に戻った後の9日、再び被爆した。89歳で語り部を始め、国内外で講演するなど精力的に活動した。死去後は長女の山崎年子さん(71)と孫の原田小鈴さん(45)、ひ孫の原田晋之介さん(長崎市立淵中1年)が継承活動に取り組んでいる。
 同会は山崎家が主催し、親交のあった市民ら約40人が参列。晋之介さんは約2年前から上演している紙芝居を披露し、山口さんの二重被爆の体験や、平和への願いを訴え続けた生涯を紹介した。山口さんを取材したドキュメンタリー映画の上映や講演原稿の朗読もあり、参列者が改めて生前の姿と心情をしのんだ。
 山崎さんはあいさつで「深い愛情で父をしのんでもらった。勇気をもらい、頑張っていける」と感謝を述べていた。

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