きょうから2次試験

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 〈軽(かろ)やかになにかやろか〉〈あなたに似(に)たなあ〉と、前から読んでも後ろから読んでも文字の並びが同じになる「回文」に全国大会があり、かつて詩情あふれる一作が最優秀に選ばれた。〈よっ見(み)たまえ。この銀河系(ぎんがけい)でまた流(なが)れ星(ぼし)だ。皆(みな)、涙(なみだ)しぼれ、彼方(かなた)まで行(い)け。歓喜(かんき)の声(こえ)、また満(み)つ夜(よ)〉▲その頃40代の小学校の先生がつくったという。満天の星が思い浮かぶが、「彼方まで行け」といった掛け声は、いつか羽ばたく子どもたち、若い世代への励ましのようでもある▲国公立大学の2次試験がきょうから始まる。先月、最後の大学入試センター試験に臨んだ人たちが「歓喜の声」に満たされる日を願って、挑む▲来年は新テストに移るため、ことし受験する人はことの外、浪人を避けたいという思いが強いと聞く。センター試験の出来に、回文で言う〈いかにも苦(にが)い〉思いをした人には、とりわけ気の張る勝負どころだろう▲試験がある長崎大、県立大では、新型ウイルスに感染しないよう、症状がなくても受験者にマスク着用が認められ、体調が悪ければ別室で受験してもらう。張り詰めた挑戦の場は、心配と気遣いの場でもある▲回文の名作を生んだ先生のような励ましが浮かぶはずもない。凡作と分かっていながら、歓喜の春を願う人に〈桜(さくら)ひらくさ〉と一言ささげる。(徹)