JD・マルティネスはア軍との18年ALCS前にファイアーズから伝えられたという
その発端は2015年途中から17年までアストロズに在籍し、現在はアスレチックスでプレーするマイク・ファイアーズ投手の“告発”だった。昨年秋にファイアーズがメディアに明かしたことによりサイン盗みは明るみになったのだが、実は2018年ア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)前にレッドソックスの主砲JD・マルティネス外野手にアストロズのサイン盗みについて話していたという。米メディア「NBCスポーツ」が伝えている。
記事によると、ファイアーズが、アストロズのサイン盗みについて警告を鳴らしたのは昨年11月が初めてではなかった。「アストロズが、ゴミ箱の力を大いに借りて2017年ワールドシリーズを制覇した後、彼らは2018年のALCSでボストン・レッドソックスと対戦した。アストロズがその時まだ、不正をしていたとしても、レッドソックスはそのこと(サイン盗み)を既に知っていたので、問題なかった。しかし、レッドソックスがそのことについて知ったのは、当時の監督でアストロズが2017年に行ったサイン盗みの首謀者とされているアレックス・コーラからではなかった」と伝えている。
コーラ氏は2017年にアストロズのベンチコーチとして世界一に貢献し、翌18年にレッドソックスの監督に就任した。アストロズのベンチコーチ時代にサイン盗みを“主導”したとして、このオフにレッドソックスの監督を退任している。
記事によると、デジタルスポーツラジオ局「WEEL」の番組「オードウェイ、メローニ アンド フォーリア」 でJD・マルティネスは次のように語ったという。
「アレックス・コーラは僕らに影響を与えたことはなかった。彼はその話(サイン盗み)をしなかった。僕が知ったのは、プレーオフの時に友人のファイアーズが連絡してくれたからなんだ。彼は、『アストロズはこんなことをしてるから、君らはこうしないといけない』って。それで、僕は、『何だって! そんなことしてるのか?』ってなった」
さらにこう続けている。
「コーラに軽く聞いてみたら、そのシステムについてちょっと話してくれた。クレイジーな話だよね。だから、コーラはプレーオフでアストロズと対戦した時はすごくリラックスしていたよ。だって、彼は、僕らが(サイン盗みに対して)準備が出来ているって知ってたからね」
ファイアーズは18年に球団に伝えるもMLBが静観したことから“告発”に踏み切ったとされる
この戦いは4勝1敗でレッドソックスに軍配が上がった。コーラ氏率いるレッドソックスは勢いに乗りワールドシリーズも制覇している。
記事によると、ファイアーズは2018年に所属するアスレチックスにもサイン盗みのことを話していたといい、球団はMLBに伝えた。しかし、MLBが何も行動を起こさなかったため、ファイアーズは野球がもっとフェアになるようにとの思いからメディアに話したという。
JD・マルティネスはこれらの理由から、デビッド・オルティス氏のファイアーズに関するコメントには賛同できないと、語った。米メディアによると、通算541本塁打を誇る元レッドソックスの強打者デビッド・オルティス氏は「チクリ野郎」などとファイアーズを批判している。
記事によると、ファイアーズは静かにこの問題に対処しようとした。彼は、オルティスの在籍チーム(レッドソックス)を助けようとさえした。ファイアーズはアストロズ在籍時の2017年に話すことはしなかったが、2018年にはアストロズの不正をなんとか正そうとしていたとしている。
ファイアーズは他球団の友人や球団にもサイン盗みの実態を訴えたが、MLBはこれに静観を決め込んだ。業を煮やしてメディアへの“告発”に踏み切ったようだ。(Full-Count編集部)