タイで電子機器が使えなくても慌てない!OriHimeと行く、バンコクの障害者雇用カフェ(前編)

いつもはタイ・バンコクの学校を紹介しているこの連載。今回はそこから一歩踏み出して、遠隔ロボット「OriHime」と一緒にタイの障害者雇用カフェに向かいます。

  • 「外国に住む」なら、主体的に異文化交流しよう
  • OriHimeと行く、バンコクの障害者雇用カフェ
  • いろいろなものがうまく機能しないのは朝飯前
  • 海外生活は、文化ギャップにめげてもいられない

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「外国に住む」なら、主体的に異文化交流しよう

海外での子育ては生活のすべてのシーンで新たな発見の連続です。子どもが日本人学校やインターナショナルスクールに行っている間、大人たちは仕事や家事、時には日本から来たお友達と気軽に観光を楽しめます。

「その国に住む」ということは、その国の政治や福祉、ローカルな人々の文化と私たちの生活がリンクしています。楽しいことばかりでもありません。物騒な話ですが、街中での発砲事件など人為的な問題が起これば被害者にもなりえるからです。何事においても「そんなことは知りませんでした。私は異邦人です」と居直っていられない状況です。

ですが、危機管理と同じように文化を体験することも大切です。子どもと一緒にローカルな暮らしを体験することは、直接毎日の生活安全や安心につながりますし、なにより親にとっても学びの機会創出になるでしょう。

どこで文化と接点をもつか

しかしどこに行けば、そんな実地の学びを得られるのでしょうか。博物館?美術館?…もちろんそれらでも、プロが作り上げた楽しくて美しい仕掛けがたくさんあり、学びを得ることもできるでしょう。ですがしばらく住んでいると、もう少し踏み込んだ社会の側面に触れたくなりますし、人々の生活や文化を通じて交流をもちたくなります。

そこで「子どもと遊びに行ける社会見学施設ないかなー」と思って探したところ、バンコクにはタイ国と日本企業が協業でやっているカフェがあり、そこはタイ人の障害者を雇用して運営していることを知りました。

OriHimeと行く、バンコクの障害者雇用カフェ

今回は、日本から障害者雇用のエキスパート(ジョブコーチ)として働く、ジェネラルパートナーズの長谷川まろさん(以下まろさん)に同行。こちらの施設に立ち寄り、実際にお茶を飲んだり、パンを食べたりしつつ、担当者から話をうかがいました。まろさんが今日本の仕事現場で毎日使っている遠隔ロボット「OriHime」も同伴です。現地レポートをお届けします。

あれ?OriHime起きてる…?朝からオンライン問い合わせ

取材当日、まろさんが滞在しているホテルで待ち合せました。心待ちにしていた取材を前に、なぜか物憂げでけげんな顔。おなかでも壊したのでしょうか?いつもの明るいまろさんじゃありません。理由を尋ねてみると、

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普段まったく問題なく動いていたはずのOriHimeが、今日はランプが点滅するだけで動作の確認が取れない…...。アプリの起動が変…...。

朝から大急ぎで日本のオリィ研究所にメールで問い合わせをするまろさん。結局ワールド未対応ということで、日本にいるスタッフとOriHimeをつなぐことはできませんでした(事前に撮影したデモンストレーションの動画は無事オンラインで見れました)。

しっかりもののまろさんが、珍しくガッカリしているのを励ましつつ、それと同時に筆者の脳裏にはタイに来てから身の回りで起こったさまざまなアクシデントの数々が走馬灯のように駆け巡ります。

いろいろなものがうまく機能しないのは朝飯前

実はタイで日本のガジェットやアプリが使えないのはしばしば起こります。電子機器だけでなく、人間関係はもっと複雑で、タイ人との文化的差異で、よくすれ違いが生じます。こちらは取扱説明書も攻略ガイドもありません。なので移住者が、ひとしれず神経をすり減らすことも多々…。

筆者がバンコクに住んでほどなく、クーラーが壊れました。修理を依頼した業者の作業が、遅々として進まずずっと壊れたまま、作業進捗の報告をたらい回し。結局4日間クーラーは熱風を吐き出している状態で、つけないほうがマシという、使いものにならないということがありました。

「タイ人は仕事ぶりがのんびりしていて、時間を守らないときがあります。それは、サバーイサバーイ(大丈夫大丈夫)という南国の精神。悪気があるわけじゃありません」という情報をネットで読んで、ちょっと溜飲は下がりました。

でも、かなりのカルチャーショック…。4日間のビックバトルを思い出し、自分の無知とローカルのひとたちの態度の間で心が揺れまくります。海外移住初心者には、軽く乗り越えられない壁であり、人によっては、けっこうキツいのです。

海外生活は、文化ギャップにめげてもいられない

やはり相手の文化を知らずに、自分の流儀と織り交ぜてうまく接点を見つけコミュニケーションが取れないと相当な割合でへこみます。夫婦喧嘩を思い浮かべていただくとわかりやすいかもしれません。犬も食わないとはよく言ったもので、喧嘩の最中お互い自分が正しいと思っています。あまりにも埒が明かなかったら、お別れも考えざるを得ませんが、基本的には妥協点を見つけて家族が心地よく暮らすすべを探していくものですよね。

海外生活は言葉の壁ももちろんですが、文化の壁はそれ以上です。実際にひとと深く付き合って経験を積んでみなければ、相手の文化など知る由もないです。

「あのトラブルは初心者向けのイニシエーションだったね」と笑って話せるタイプは、海外移住とても向いています。しかし筆者のように、しばらく苦悩してしまう小心者もいるのです。できたらトラブルが起こる前に能動的にいろいろなことを知り、せっかくの海外生活経験豊かに楽しく暮らせるのが理想ですね。

次回はOriHimeと一緒に、実際にバンコクにある障害者雇用のカフェ「60+ベーカリー&カフェ」に行きます。

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