ホールジー『マニック』 ビリー・アイリッシュに続く、時代が生んだヒロイン

ホールジー『マニック』

 ニュージャージー出身の25歳、ホールジーの3rdアルバムです。才能に恵まれながらも経済的な理由でアートカレッジを断念、CMシンガーのアルバイトをするなかウェブにアップした「ゴースト」がヒットし14年にレーベル契約、翌年にリリースしたデビュー・アルバム『バッドランズ』は全米チャート2位にランクされ一躍世界に注目されました。

 彼女の音楽の魅力はシーアのように印象的なメロディをリピートし、そこに大人の常識を疑問視する刺さる歌詞を畳み込むという作風。ネット世代の10代からの圧倒的な支持を得ました。サウンドこそ違いますが同じジェネレーションZのビリー・アイリッシュの音楽とも共通していると言えます。これまでの業界のタブーを横目に、自らのバイセクシャルをカミングアウト、LGBTQを支持し、性差別・性暴力に対して躊躇なくメッセージする姿勢が新世代アーティストのスタンダードになろうとしています。まさに音楽界のグレタ・トゥーンベリさんといえましょう。

(ユニバーサル・2200円+税)=北澤孝

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