青森県産リンゴ高値続く 台風、病害で品薄感

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リンゴの主な3品目の推移

 昨年の台風被害などによる果樹の品薄感を受け、青森県産リンゴは冬以降、高値が続いている。南部町営地方卸売市場ではサンふじなど主要品種が過去10年で2番目の高さ。首都圏など主要5消費地市場の平均価格も過去5年で最高値を記録した。今後も高値基調は続く見込みだが、関係者は「農家の収入確保には量も必要」と指摘する声もある。

 県南地方で果樹の取り扱いが最も多い南部町営地方卸売市場。藤原正利次長は「全国的に量がない。長野は台風、山形は黒星病、青森は干ばつ。品薄なので引き合いが強い」と高値の背景を語る。

 特に、西日本や北陸、東北などの果樹の主要産地を襲った昨年9月の台風15号と同10月の台風19号の影響が大きく、藤原次長は「早生(わせ)の品種は平年並みだったが、それ以降のふじなどは影響を受けた」と続ける。

 同市場によると、19年度は10月ごろがメインの早生ふじ(19年産終了)が入荷量529トン、キロ単価168円。過去10年で量、値段とも5番目に収まった。

 しかし、11月ごろから本格化する“エース”のサンふじ(20年1月末まで)は、入荷量が2617トンと過去10年で最小の一方、キロ単価は190円と2番目の高値が付いた。王林と紅玉も同様の傾向だ。

 青森県によると、19年産県産リンゴの在庫量は18万7841トン(19年12月末現在)で、平年(前5カ年中庸3カ年平均)より約2割少ない。県や市場関係者の話を総合すると、全国的にリンゴだけでなくミカンなど果物全般の量が少ない中、競合産地に比べ災害の影響が少なく品質も良好な青森県産リンゴが高く評価されているようだ。

 市場価格について生産者の間では、1968年の「山川市場」が今も語り草だ。ミカンやイチゴ、バナナといった他の果物との競合で、県産リンゴの価格が大暴落し、山や川に1万トン以上も投棄された。主力品種がそれまでの国光や紅玉から、食味がよく保存にも優れたふじなどに交代するきっかけともなった。

 また、県などはリンゴの市場価格低迷時に生食用から加工用に振り分ける需給調整対策の制度を設置しているが、ここ最近は霜害などの影響で安値となった2008年以外、発動されていない。“高値安定”の反映ともいえるが、県りんご果樹課の今村友彦課長は「価格が高くても、ある程度の量がなければ農家の所得向上にはつながらない」と指摘。消費拡大の重要性を訴えている。