「東京タワーが見たかった」 マレーシアから日本国内へ入国した少年の身柄を確保 事件を重く見た家裁は検察に身柄を送致することを決定

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マレーシアから90日の短期滞在資格で来日した少年甲(氏名非公表、裁判当時18歳)は来日の目的を「観光」だと供述していました。

「東京タワーを見たかったです。あと、マレーシアには雪が降らないので、日本で雪を見てみたかった」

しかし彼は東京タワーも雪も見ることはなく、日本に来たその日に「不正作出支払用カード電磁的記録供用未遂・詐欺未遂・不正電磁的記録カード保持」の疑いで逮捕され勾留されることになりました。家裁はこの事件を重く見て検察に身柄を送致することを決定し、彼は正式裁判を受けることになりました。

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犯行は都内のデパートで平日の昼日中に行われました。

従業員の供述によると

「犯人は売り場にやってきてショーケースを指差してクレジットカードを出していました。犯人が指していたのは時計と香水で、販売価格は合計で745,240円です。受け取ったカードが少し薄かったので『偽造かもしれない』と思い、裏でマネージャーと確認して偽造だと確信しました」

その後すぐ店は110番通報をして警察官が駆けつけました。警察官を見ると被告人はすぐにその場から走って逃走しましたが15分後、近くの駅まで逃げたところで取り押さえられ逮捕されました。

彼はマレーシアの中学を卒業後は飲食店従業員などの職を転々とし、逮捕当時は無職でした。マレーシアでは両親、兄弟と同居しています。

検察官調書によれば「観光」で日本に来たことになっていますが、彼は来日した日に「知らない男」に声をかけられています。

「このカードで買い物をしてきたらお金をあげる」

そう言われ、彼は「知らない男」の依頼を承諾し男からカードを受け取り犯行現場となったデパートへ向かいました。

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逮捕された時点で彼の所持金は約3万円ほどでした。そしてマレーシアに帰るチケットは所持していませんでした。その理由については、「日本に着いてすぐ財布を落としてしまったからです」と供述しています。

「初めての海外旅行で気が動転していました」

という理由で、家族に連絡してお金を送金してもらったりマレーシア大使館に相談しに行ったりすることは思いつかなかったそうです。

そうして困っている時に「知らない男」が声をかけてきました。

「犯罪かもしれない」

「偽造カードかもしれない」

とは思ったそうですが、お金がなくて困っていたため犯行に加担してしまいました。

彼が日本にどれくらいいるつもりだったかは不明ですが、ホテルなど泊まる場所の予約すらしていませんでした。

「財布を落とした」というのが本当かどうかもわかりません。「知らない男」が声をかけてくるタイミングがあまりにも良すぎますし、声をかけられてすぐ犯行に至るという犯行態様もおかしいと感じます。

「元々、偽造カードで『買い物』をするために日本に来たんじゃないんですか?」

と検察官に訊かれた時には即座に「違います」と否定していましたが、その言葉を簡単に信用することはとてもできません。

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裁判での彼の供述には不自然な点も多く、本当に観光目的で来たのかどうかはわかりません。立証できない以上断定はできませんが、初めから犯罪を犯すために来日した可能性は十分に考えられます。

このような、東南アジア系詐欺グループによる同種の事件は増えています。

日本人の詐欺グループによる犯罪でも同じことが言えますが、このような犯罪で実際に捕まるのは大抵の場合は貧困状態であったり年齢が若かったりする、グループの中で立場の弱い人間ばかりです。

今回取り上げた少年は、

「裁判が終わったら早くマレーシアに帰りたいです。もう、日本はもちろんマレーシアでも違法行為はしないと誓います」

と話していました。正直なところ、彼の言葉は一切信用はできないと思っています。しかし「もう違法行為はしない」という言葉だけは、他の誰でもなく彼自身の人生のためにも守ってほしいですし信用してあげたいと思っています。(取材・文◎鈴木孔明)

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