モーッと食べて!北海道産牛肉の海外輸出

けいナビ

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今週のテーマは「北海道産牛肉」。この北海道産牛肉を、海外に輸出する動きが活発化している。
大雪山を望む上富良野の山あいにある、明正牧場。和牛の輸出に積極的な牧場だ。自然豊かな環境の町で和牛に絞って育て、大手食肉会社などに出荷。「かみふらの和牛」の名前で売り出している。

黒毛和牛のメスを中心に約3,500頭を飼育

富良野エリアには、明正牧場を含む和牛の大規模農場が4つ。それぞれ独自にブランドを商標登録している。例えば、同じ上富良野の谷口ファームは「ふらの和牛」としてカンボジアの外食産業が視察に訪れるなど、今後の輸出機運が高まっている。
明正牧場も輸出向けを強化。空港に広告を出すなど、海外客にも「かみふらの和牛」を知ってもらい、地道に取引先を増やしてきた。

少子高齢化やデフレ傾向の下で、国内市場の成長には限界が。さらに、子牛の購入価格や育てた牛肉の販売価格も不安定だ。輸出で規模を拡大し、経営を安定させるのが最終目標という。最近は自ら子牛の繁殖にも乗り出している。

和牛の輸出強化が進む一方、農協などが道産牛のなかで最も売り込みたい牛肉がある。札幌ススキノ。ここに2年ほど前に開業した焼き肉レストラン「牛の杜(ビーフのもり) 」。

この店イチオシの牛肉は「キタウシリ」。酪農の副産物ともいえるオスの乳牛だ。オスは生乳を生むメスに対し肉牛に回される。店のメニューは、和牛とこの乳牛「キタウシリ」が中心。キタウシリは赤身の牛肉で、低脂肪低カロリーのヘルシーさを特徴とする。肉本来の味わいも楽しめるという。

キタウシリ

店によると、リピーターはキタウシリを注文する割合が高いという。さまざまな牛肉の部位を盛り合わせたセット皿も。特定の部位だけ売れても牛肉の生産者は採算が合わない。消費者になじみの薄い部位も売り込み、牛肉1頭分をバランスよく消費してもらう。

セット皿

この店、実は食肉加工も手掛ける北海道チクレンミートが経営。この会社は海外への輸出拡大を進めていて、国内はもちろん、海外での知名度アップがカギだ。

中国人客からも高評価

海外輸出を進めるキタウシリ。北海道チクレンミートは自社でこうした道産牛を一貫加工する施設も持つ。北海道チクレンミート北見工場。

加工しているのは、主に道東の産地から集まる乳牛の肉。道内では高級和牛よりも圧倒的に乳牛肉の生産量が多い。輸出用は朝一番に加工を終えている。ほかの肉からの雑菌が付くのを避けるため、国内向けと分けた管理が求められる。輸出の場合は、一度出荷停止となると国内に比べ影響が長期に及ぶため、特に注意を払う必要がある。過去には、家畜伝染病の影響で牛肉が輸出できない時期もあった。
ここでは、北海道ブランドの価値が高まっているアジアに的を絞り、2016年、タイ向けの輸出認証を取った。

帯広の食肉加工施設。1日当たり最大450頭の牛の加工が可能で、国内でも1,2を争う処理能力を誇る施設。ホクレンや道などが出資した北海道畜産公社が建設した。ここでも輸出用の牛肉を処理している。

さきほどの工場よりも内部が広く、加工ラインの間隔が広い。刃物を持って加工処理する従業員の動線に配慮した設計。作業中の事故が起きないよう、細心の注意を払った。工場内の結露や処理施設のさびを放置しないなど、設備の充実も含め、さまざまな厳しい衛生基準を満たすためにこうした工夫が必要なのだ。

新たに認証を取った香港向けの輸出も近く始まる。これまで道産牛をアメリカへ輸出するために、いったん道外の認定工場に牛を輸送していた。そのため、コスト面が足かせとなっていた。衛生基準は国・地域ごとに基準が違うが、世界的にも厳しいアメリカの基準に合えば、大抵の国の基準を満たすという。

香港向けの輸出第一号の牛肉を出荷すべく準備している農場が、隣町・芽室町にある。約4,000頭の肉牛を飼育するオークリーフ牧場。 オークリーフが力を入れているのは、こちらの牛。

見た目は黒毛和牛と変わらないが、和牛の人工受精卵を乳牛に移植して生まれた「交雑牛」だ。乳牛よりも体重の増え方が緩やかなため、牧場で育てる期間は乳牛よりも半年ほど長いが、市場価格は乳牛より高い。

見比べると、交雑牛との違いは明らか

ここで育てた牛肉は、町内の別の牧場と共同で、「未来めむろうし」という名称で販売している。アジアの富裕層に人気の高級和牛ではなく、中間層を狙った交雑牛。適度な霜降りと手ごろな価格でニーズが高い。

オークリーフ牧場の輸出への取り組みは早く、9年前からシンガポールへ輸出。香港にも3年前から、焼き肉レストラン向けに輸出している。輸出の強化は、経営の安定と北海道ブランドの強化につながるという。

札幌は豚肉や羊肉の文化などにより、牛肉の消費量が少ない

ちなみに、札幌は全国と比べ、牛肉の消費量が少ない。豚肉や羊肉の文化が根強いことなどが要因だ。輸出拡大はもちろんだが、今一度地元・北海道の魅力的な牛肉を食べてみてはいかがだろうか。

番組の最後は杉村太蔵さんの一言。コメントのフルバージョンはYouTubeなどのSNSで公開中。
(2020年2月29日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)
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