相乗りタクシーの配車を柔軟に 日立版MaaSでみちのりHDとナビタイムが検証

茨城県の日立地域では、通勤型デマンドバスや相乗りタクシーを提供する MaaS 実証実験を2月3日から実施している。同実証に参画している株式会社みちのりホールディングス(以下、みちのりHD)と、株式会社ナビタイムジャパン(以下、ナビタイムジャパン)は共同で発表を行い、運行中の相乗りタクシーサービスで「相乗り考慮巡回検索API」を活用した配車サービスの実施を発表した。「Hitachi City MaaS Project」アプリ内で相乗りタクシーの予約が可能で、乗車時間を考慮した柔軟な配車サービスの実現に向けて検証を行う。

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「相乗り考慮巡回検索API」とは、デマンド型交通を快適に利用することを目的に、乗客の乗車時間を考慮した最適経路をAPIとして提供するサービス。今回、日立地域で行う実証では、茨城交通のバス停「大沼 BRT」を利用する住民などを対象にラストワンマイル型の相乗りタクシーをサービス提供しており、「相乗り考慮巡回検索API」はこのサービス向けに利用する。相乗りタクシーの予約は、「Hitachi City MaaS Project」アプリから可能

※1 実証実験終了日の2月28日まで予約可能

これまでの相乗りタクシーサービスには、乗客ごとの乗車時間に差が出るという課題があった。従来の経路検索では、複数の利用者が相乗りする場合、道なりに最短距離を算出して巡回するので、乗客によっては目的地を通過してしまうケースが出るためだ(上図参照)。

今回の「相乗り考慮巡回検索API」では、乗客ごとの乗車時間に大きく差が出ないよう考慮し、場合によっては一度目的地で乗客を降車させてから次の乗客のもとへ向かうといった、より柔軟性の高い相乗りタクシーの配車が可能になったという。

両社の発表によると、APIの開発にあたっては、「ナビタイムジャパンの巡回経路探索技術を強化し、乗客数や乗降地点、各地点間の距離等を考慮して、タクシーの全体経路と乗客毎の乗車時間の組み合わせの最適化を実現した」と語っている。日立地域のMaaS実証が2月28日となっているため、今回は短期間の検証にとどまるものの、両社は利用状況を分析してサービスの改善・向上を検討したいとしている。

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