お子様ランチを大人が注文できない理由とは?

ファミリーレストランで子供が喜ぶメニュー、それはお子様ランチ

可愛らしいプレートに少量のライスや揚げ物、ゼリー等が盛り付けられ、楽しい雰囲気を放っている。

大人向けのメニューに食欲がわかない小食のキッズでも、お子さまランチの写真を見ればたちまち楽しい外食のひとときに切り替わる。

ところがこのお子様ランチには、ひとつ悲しい真実がある。

それは、年齢制限

小さい字で「小学生以下」といった断り書きが書かれていることが通常だ。
家族での外食でお子様ランチを頼み続けてきたローティーンの夢は、思春期に少年から大人に変わり、あえなく断たれることになる。

大人になれば色々なことが可能になる。なのに何故、お子さまランチだけは禁じられてしまうのか。

その真実を今日は明らかにしていきたい。

表の理由:中学生以上は「大人」だから

このお子様ランチ問題だが、常識的に考えると、

「中学生は交通費も大人料金だから大人の仲間入り」
「大人がお子様ランチを注文するのは恥ずかしい」

という社会通念で納得する層が多いかもしれない。

実際問題、お子さまランチというものは えてして味がマイルド、悪く言えばぼんやりした単純なものなので、ある程度味覚が発達してくると物足りない味に感じられるものだ。

当然、提供される分量も明らかに少ないため、小学校高学年や中学など成長期に入れば、胃の容量的にも物足りなく感じるようになるのが一般的だ。

お子様ランチはあくまで楽しさを追求したもの、幼児でも食べられるようなものであり、決して味や料理の質を目当てとして食べるべきものではない。

裏の理由:「お子様」のためなら赤字でも

さて、常識に囚われない「お子様ランチ・ガチ勢」にとっては、大人だからという理由だけでは到底納得できるものではないだろう。著者も同じだ。

お子様ランチが大人に提供されない裏の理由、

それは「赤字だから店は極力提供したくない」ということだ。

ちまちまと数種類のおかずをプレートに盛り付ける手間暇や、原価と釣り合わない価格で提供されているのが常だ。

場合によってはオマケのおもちゃ代なども含め、薄利もしくは赤字で提供されているのが実情だ。

また、飲食店の厨房内では子供向けの食事は優先的に調理・提供するように動いている側面もある。

これは、大人と違い子供は我慢が苦手で、すぐに騒いだりして周囲に迷惑をかける恐れがあるためだ。
利益率の問題だけでなく、調理場でのオペレーション上の負担も、お子さまランチの提供にはついて回る。

そこまでしてでもお子様ランチを提供するのは、子供に対する「寄せ餌」のような効果を持っているからに他ならない。

子供がお子様ランチ食べたさに、そのファミレスに行こうとせがむ。それによって両親だけでなく祖父母や従妹、子供の友達の家族(ママ友)など、何人もの大人をリピーターにさせることが期待できる。

こう考えると、お子様ランチはまさに「お子様」のための、「ファミリーレストラン」によるメニューだと言えるだろう。

お子様ランチが頼める色々な方法

某カレー専門チェーン店や某牛丼チェーン店では、大人でもお子様ランチを注文することができる。

テイクアウトのファーストフード店の子供向けメニューであれば、注文者が子供である必要はないので、ねらい目かもしれない。

趣旨が変わってくるが、あえて大人向けのお子様ランチ、いわば「大人様ランチ」を提供しているレストランも存在する。

外食に期待しすぎず、家で自作のお子様ランチを研究してみるのも楽しいかもしれない。

可愛い絵柄のプレートに、冷凍食品やウインナーを盛り合わせて、ライスに万国旗のつまようじを立てる。
写真を撮ってSNSにアップロードする楽しみ方も良いだろう。

諦めなければ、何歳であっても童心にかえって食事を楽しめるのだ。

なりふり構わない裏技も…

年齢制限があっても、高齢者や障害者の場合であれば注文できる店もなくはない。

また、一説によればメニューに年齢制限が記載されていても、実際に注文してみると断られないという噂もある。

また、自分が大人であっても、小学生までの子供を連れて店に行き、子供の分としてお子様ランチを注文し、それを交換して食べる、あるいは食べ残しを食べる、という方法もある。

ただし、店員から白眼視される、厨房で陰口を叩かれる、注文が却下される、他の利用客からやはり白眼視される、等のリスクやデメリットを十分に考慮の上、自己責任にて試されたい。

童心を持った「大人」であるために

今回は、子供心を刺激する「お子様ランチ」について掘り下げてみた。
童心を持った大人として、我々はどこまで子供心を遊ばせ、どこから大人の振る舞いを心得るべきだろうか。

「大人買い」では子供時代の想いは満たされないと言われる。
子供向けのものは子供が楽しむからこそ十分に楽しめる部分があるのかもしれない。
とはいえ、誰の迷惑にもならなければ何をどう食べても自由だ。

型破りな行動として面白がるのか。それとも、純粋に子供時代の想いに浸って食事がしたいのか。
今一度、お子さまランチについて思いを巡らせてみたい。

(文/ニジクマノミ

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