穴水の被災者向け新聞、一区切り 地震後、癒やしを届け最終137号

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 能登半島地震で被災した穴水町民向けに配られてきた新聞「あした塾だより」が3月1日、137号で終止符を打つ。2009年5月に発行を開始し、被災者の心を温めてきたが、昨年10年の節目を刻み、一区切りつけることにした。最終号では復興への歩みを振り返るとともに、大相撲春場所で三役に返り咲き、西小結で臨む町出身の遠藤(金沢学院高OB)の活躍に期待を込めた。

 あした塾だよりを発行するのは、町ボランティア連絡協議会長の滝井元之さん(75)=同町梶。元中学校教諭の滝井さんは、ボランティアで週1回、被災者の相談相手を務めたのがきっかけで新聞作りを始めた。

 2007年3月25日の地震では、町中心部が大きな被害を受け、大町の仮設住宅には44世帯91人の被災者が身を寄せた。2年後、自宅を再建したり、災害公営住宅に入居したりして、住民が次々と仮設住宅を離れる中、つながりが薄れ、1人暮らしの高齢者らの孤立化を懸念したためだ。

 A4判、表裏カラー刷りの手書き新聞は原則、毎月1日に発行した。町の行事や季節の風景写真と記事を盛り込み、会話する時間を設けながら約25軒に配布してきた。遠藤の話題も多く掲載し、2月号は初の殊勲賞獲得を喜ぶとともに、白鵬を破った一番を取り上げ、「痛快!」の見出しを打った。

 最終号はこれまで通り自筆で、表面は地震発生から復興への歩みを振り返り、「まだまだ困難もあると思いますが、元気で過ごしてください」と被災者を思いやり、読み続けてくれたことに謝意を示した。1日も各戸を回って直接手渡すつもりだ。

 滝井さんは「地震の記憶と教訓を忘れない、その思いは伝え続けた。新たな活動につなげたい」と意気込む。今後は対象を広げ、町の将来に思いを巡らす便りが出せないか検討している。