病気予防は歯磨きから 歯垢に潜む細菌の酵素「プロテアーゼ」 インフル感染にも影響

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イラスト・いらすとや

◆[県歯科医師会コラム・歯の長寿学](296)

 今年は、沖縄県をはじめ全国各地で、例年より2か月早くインフルエンザの流行が始まりました。台風や大雨が多かったためではないかといわれています。天気が悪いと家の中にいることが増え、家庭内で感染した可能性が高いからというのです。インフルエンザ予防の第一はインフルエンザワクチンの接種です。そして、外出から戻ったら、手を洗い、うがいをすることも重要です。マスク着用も効果があります。さらにもう一つ大切なことがあります。さて、なんだと思いますか?

 それはお口や歯を清潔にすることです。日本大学歯学部細菌学講座の神尾宜昌先生の研究で、口腔(こうくう)細菌がインフルエンザウイルスを体内で増殖させ、インフルエンザの発症リスクを高める恐れがある事がわかりました。その細菌は、私たちの歯や舌の汚れに含まれていることが多いのです。

 歯みがきを怠っていると、むし歯や歯周病の原因となる菌が増殖してプラーク(歯垢=しこう)になります。このプラークには、気管支炎や肺炎などの発症や重症化にかかわる肺炎球菌やインフルエンザ菌のほか、重篤な感染症の原因となる黄色ブドウ球菌、緑膿(りょくのう)菌、セラチア菌などの細菌も含まれています。これらの細菌はプロテアーゼと呼ばれる酵素を出し、インフルエンザウイルスが気道の粘膜から細胞に侵入しやすくする働きをもっています。つまり、お口の中がネバネバしたり、不潔な状態を放置しておくとプロテアーゼの量が増え、インフルエンザの発症や重症化を招きやすくなるのです。

 口腔細菌は夜寝ている間に増えるため、夜寝る前の歯磨きは特に重要です。そして、かかりつけの歯医者さんで適切な歯みがきや口腔ケアの指導を受け、歯科衛生士さんに定期的に歯垢を除去してもらい、日ごろからお口の中を清潔に保つことも大切です。

 「たかが歯ブラシされど歯ブラシ」、歯ブラシはきちんと行えばプロテアーゼの量を減らし、インフルエンザの予防にも効果があるのです。(徳嶺千佳子 エンゼル歯科 宜野湾市)