長崎唯一の公認似顔絵師・末次司さん 笑顔になるもの届けたい

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「楽しく笑顔になるものを届けたい」と語る末次さん=長崎新聞社

 長崎県諫早市の末次司さん(31)は、全国で117人、県内ではただ1人しかいない日本似顔絵検定協会認定の公認似顔絵師。「楽しく笑顔になるものを届けたい」と、自らを「似顔絵art-TANO-」と名乗り、日々ペンを走らせる。

 末次さんは2008年から諫早市内のガソリンスタンドで働き始めた。幼いころから絵を描くのは好きだし得意。客にそれぞれの担当を知ってもらおうと、チラシにスタッフの似顔絵を描き始めた。さらに、オイル交換や空気圧の点検のお知らせの余白に、来店客の似顔絵を短い時間で仕上げて手渡したりした。「どうやったらお客さんに喜んでもらえるか」と、いつも考えながら仕事していた。
 14年、知人から結婚式のウエルカムボードを描いてほしいと依頼を受けた。イメージが一瞬で沸き、2日後には描き上げた。この後も依頼が続いた。「技術を身に付けないと」と考えるようになり、絵の描き方を紹介する動画投稿サイト「ユーチューブ」やインターネットを見るなどして独学で学んだ。
 忘れられない客がいる。「友達へのプレゼントに」と似顔絵を依頼してきた島原の30代女性。ところが納品日の前夜、涙交じりの声で電話があった。「家族に急な不幸があったが、全員で写った写真がない。家族が並んだイラストを描いてもらえませんか」
 納品は翌日午前7時。徹夜で描いた。約束の島原外港で待ち合わせて手渡すと女性は泣いて喜んでくれた。「自分の絵で、人の心を動かせるんじゃないか」。似顔絵師を仕事にする決心が付いた。
 画材は、先端が絵筆のようになっている油性マーカーがメイン。約100本のペンを使い分ける。1人当たり15分程度で着色まで終える。依頼人の時間を拘束しないため、対面では描かず、送ってもらったお気に入りの写真を使うスタイルだ。
 これまでに延べ1500人以上を描いてきた。今年は初めての個展も予定している。末次さんは「まだまだ似顔絵師を仕事に選ぶ人は少ない。似顔絵師を職業としていることを一つのビジネスモデルとして広めたい」と話している。
 問い合わせは、LINE(ライン)やフェイスブックなど各種会員制交流サイト(SNS)の「似顔絵art-TANO-」から受け付けている。