コロナ対策でライブはやっていいの? 政府の曖昧な言い回しにいらつく西川貴教 ライブ中止でサポートスタッフの生活が困窮か

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「多数の方が集まる全国的なスポーツ、文化イベント等は大規模な感染リスクがある。今後2週間は中止、延期、規模縮小の対応を取るよう要請する」(安倍首相)。

2月26日に首相官邸で開催された政府の新型コロナウィルス感染症対策本部の会合で政府からの要請が出されて、ライブの中止の発表が相次いでいる。前日25日には、アーティスト兼プロダクション社長の西川貴教がTwitterで政府のコロナ対策を批判して炎上していた。

【なぁなぁ、で結局のとこライブとかイベントはやっていいの? あかんの? どっち? やっても怒られて、やめても怒られる… そろそろ政府でちゃんと決めて欲しい… ( ⌯᷄௰⌯᷅ ;)<「自己責任」は無責任ッスよ…】(西川貴教ツイッターより)

熊本のコロナウィルスの感染者が福岡公演を観ていたことが報じられたWANIMAが公演を中止。ジャニーズ事務所は、3月9日までの公演を延期。EXCILEは来場を控えるファンに対し、チケット払戻しを発表していたものの、政府の要請を受けて26日のライブの中止を当日に発表。

同日にPerfumeもライブを中止。

AKB48や姉妹グループは同日から3月11日までの公演やイベントを中止、延期すると発表。エイベックスも、浜崎あゆみ、倖田來未等アーティスト9組の15公演を同日まで自粛。

シンガー・ソングライターの米津玄師も27日から宮城県と三重県で予定していた4公演を中止。L’Arc〜en〜Cielも公演中止を発表。横浜公演限定曲や新しい国立競技場のライブへの意気込みがあったことをhydeは漏らしていた。

ライブ主催者でもある西川貴教は、

【中止や延期の補填も当然なく、開催して感染者を出せば関係者全員が、先ず間違いなくメディアやネットで袋叩きにあうでしょう。そもそも国が検査すらまともに把握出来てないし、その検査も入院レベルの肺炎になってからじゃないと受けさせてもらえないので、熟考しています。バカですいません】

とツイートしていたもの、3月のライブの全日程を延期する意向を発表した。

ライブ主催者、イベント関係会社の倒産が危惧される報道もされている中、株式会社ペイノアは、新型コロナウイルスの感染拡大によって、イベントのキャンセルをするアーティストの負担を軽減するサポートの開始を発表した。イベントのキャンセルにかかる費用を振替開催までの期間、無償で前払いするという。

「サポートミュージシャン、スタッフ等は、貯金もほとんどないので、日当仕事を失なったら、目先の生活に困窮します。ライブやリハーサルのために生活のためのアルバイトを休んでいたのに、ライブでの収入がなくなるのは、死活問題なのです。チケットを売った分だけ報酬を得る役者も同じ悩みをかかえています。フリーランスの音楽ライターもライブが中止になるとライブレポートの仕事が激減し、 家賃払えなくなると嘆いていました」(音楽業界関係者)

一方で、小さな会場のライブの開催はケースバイケースのようだ。オリジナルメンバーでの再結成が注目されていた伝説のロックバンドPRESENCEは、ボーカリストの不調で東京公演二日目中止を乗り越えて、大阪公演をリベンジの場にすることが報じられていたにもかかわらず、コロナの影響で大阪公演を中止にすることを発表した。

一方で、

「マスクを着用してアーティストがライブをすることもあるし。着席してライブを観るスタイルだと通勤ラッシュよりマシだ。やりたいアーティストはライブをやって、観たいお客さんは来る。でいいんじゃない? 今どき、通勤ラッシュの電車並みに集客あるバンドも少ないから。ライブ、コンサートよりもオリンピックの方が人が集まると思うんだけどオリンピックを中止にした方が良いんじゃない?」

と糧たるライブハウス関係者もいる。

通勤ラッシュの電車はたしかにコンサート会場よりも人が密着するかもしれない。国土交通省、厚生労働省からの、「テレワーク」「咳のエチケット」を推奨する文字広告が駅のホームに流れているものの、対策の遅さ、具体性のなさに損害は広がる一方だ。(文◎冴島奈穂美)

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