東京都知事選がいよいよ近づいてきた今、選挙ドットコムでは都民に住む有権者に対し、小池百合子知事への支持率を調査!
これまで現役の都知事が負けたことが1度もないという都知事選ですが、もし小池百合子氏が再選を狙って立候補したら、死角はあるの? 現職・小池氏を打ち負かす強力な対抗馬を立てるならいったい誰?
MC乙武氏と千葉ちゃん、そしてJX通信社の米重氏の 3人が、前回の都知事選をたっぷりと振り返りつつ、都知事選をフリーダムに分析・予想します。
番組内容をダイジェスでお伝えしていきましょう。
下手なドラマよりドラマティックだった 2016年都知事選挙
乙武 「今回のテーマは、どうなる!? 東京都知事選 ということです。7月に行われるから、もうそろそろですねえ」
米重 「7月5日に投開票予定です」
千葉 「もう少しですね。今年7月、東京オリンピックの直前に行われる東京都知事選挙。現職の小池百合子都知事ご自身は、いまだ再選出馬を表明してはいませんが、各党は小池知事出馬を前提に勝てる対抗馬の擁立を模索しているという状況ですね。
今回は小池知事が再選される可能性はどの程度なのかを、JX通信社の調査をもとに分析していきたいと思います。
まずは前回2016年の都知事選の分析データがあるということで、こちらをご覧いただきましょう」
乙武 「懐かしいな、もう4年前になるんだね」
米重 「これは前回2016年の東京都知事選の、終盤期くらいに調査したものです。小池さんや増田さん、鳥越さんといった主だった候補者の推移を示した図ですね。
左側のような図にしているのは、選挙中は公職選挙法の規定で、生の数字というのを出すことができないので、なんとなくのアップダウンを当たり障りのない表現でまとめたというものです」
乙武 「へえ、選挙期間中はばっちりと数字のデータは出せないんだ」
米重 「そういう事情があるんですよね」
乙武 「この左下の石田って誰だっけ?」
米重 「これは、石田純一さん」
乙武 「あー! そうか。そうだそうだ、数日間、立候補するとかって話題になりましたね」
米重 「そうです。かなりの可能性で出るという空気を当時、漂わせておられましたので、石田さんも調査対象に加えたんですが」
*編集部注:俳優の石田純一氏は2016年7月7日に「野党統一候補として、都知事選への立候補を検討している」と発表。しかしその4日後の11日に「自身の事情もあり立候補を取りやめる」と発表した。
千葉 「入ってますね~」
米重 「でももうそのときは、宇都宮健児さんよりも下で、数字としてはほとんど出なかったですね」
乙武 「えー『石田さん出るんだ~』みたいになった空気の中でも、そんなに数字は取れていなかったんですか」
米重 「そうですね、支持層が付いてこなかったということだと思います」
乙武 「じゃ、もし出ていたらそのまま行くと大惨敗だった?」
米重 「そうですね。伸びる感じでもない数字でしたから」
乙武 「じゃあ逆によく出ようとしましたね、って感じ?」
米重 「ま、そこはご本人の強い思いもあったと思いますので、あんまりとやかくは言えないところです」(笑)
乙武 「で、石田さんと入れ替わりのように出馬を表明したのが、鳥越さんと」
米重 「そうでしたね。鳥越さんは野党の統一候補ということで。ジャーナリストとしての圧倒的な知名度もありまして、最初は本当にわずかな差ではあったんですが、小池さんを上回る支持を瞬間風速で受けたこともあります」
乙武 「ただまあ、坂を転げ落ちるように支持率が下がってましたよね」
米重 「そうですね。やはり最初の、出馬表明直後がピークで、そこからは選挙期間中の様々な発言、ほぼ失言と言ってもいいと思いますけどそういったことや、あとはスキャンダル報道もありましたので、最終的には自民党の増田さんを下回るような状態になってしまって。惨敗と言っていいと思います」
*編集部注:都知事選に立候補を表明した鳥越氏は「ちゃんとした公約はありません」、「他候補の公約も読んでいない。関心がなかったから」と失言。さらに週刊文春が2016年7月21日発売号で鳥越氏による女子大生への「淫行疑惑」を報じた。
乙武 「千葉ちゃん、鳥越さんってどんなイメージ?」
千葉 「さわやかなイメージ……かな」
乙武 「ほぉ」
千葉 「メディアでお話しするのに慣れている感じ、ですかね」
乙武 「僕らくらいの世代からすると、報道番組のアンカーっていったらもう筑紫哲也か鳥越俊太郎かみたいな、そういう存在だったから、鳥越さんが知事選にお出になるって聞いた時は、ちょっと胸躍ったんだよね。
出馬会見をやるってとき、ちょうど車で移動中だったからわざわざラジオをつけて聞いたのよ。どんなことをおっしゃるんだろうとわくわくしながらね。
そしたら『いや、私、出馬を決めたのが数日前なんで都政の課題とかまだよくわかってないし、政策はこれから考えます』みたいなことおっしゃってて、俺、もし膝があったら膝から崩れ落ちてたなっていうくらいの……」
千葉 「えっ? 出馬会見でご本人がそうおっしゃったんですか?」
乙武 「そう。もし本当にそうだとしても、それ出馬会見で言う必要ある? みたいなね。で『どうしてもこだわっていきたい政策は?』みたいな質問にね『がん治療とか……』みたいなことをおっしゃって。
鳥越さんはご本人がガンサバイバーだからさ、そりゃこだわりはあるだろうけど、都政のメインにはちょっと無理くりな発言すぎるよねえ。
で、そっからはわりと機会があるごとに、口を開けば『ん?』っていう有権者が疑問符を浮かべるような発言ばっかりが続いちゃって、気が付けば最下位になってしまったって感じですよね」
米重 「まあそうした発言とか、政策なんかもとにかく急ごしらえのものだったからかもしれないですけど、あまりにも統一感がなかったなという印象がありますね。たとえば『島しょ部で消費税を減税します』みたいなことを突然、演説でお話しされたりとか。
でも減税とかは、東京都がやろうと言って、どうこうできるような政策じゃないんですね。そういったところも含めて、まぁ選挙には慣れていらっしゃらなかったんだなという印象」
乙武 「でもさ、これ鳥越さんも可哀そうな部分があったというか、担いだ野党が何やってんのよ、ってところもあると思うんですよ。そんな急ごしらえでやるからダメなんじゃないかと。
都知事選なんて、いつあるんだかちゃんとわかっているものなのに、それに対して急ごしらえすぎるだろうと」
米重 「まあ、本当に公示何日か前という状況でぎりぎり鳥越さんの擁立を決めましたからね。鳥越さんが出てくれるということになって、野党関係者の方たちはおそらくすごく喜んだと思うけど、やっぱり準備が足りなかったんじゃないかという結論になってしまいますね」
*編集部注:2016年の都知事選は7月14日に告示。その告示2日前に鳥越氏が野党統一候補に決定。それ以前に、民進党都連(当時)は、元経済産業省官僚の古賀茂明氏に出馬要請を行っていた。弁護士の宇都宮健児氏も出馬を検討していたが、撤回。
「厚化粧のオバハン」へのうまい切り返しが 当選を確実にした
千葉 「その中で、先ほどの図にもありましたが小池さんがぐんぐんリードしていくのは、どんな戦略があったんでしょうか」
米重 「小池さんの場合は、もともとは自民党の公認を希望していたんですね。ところがそれに対して『それはまかりならん!』という人たちが、東京都連の中にたくさんいらしゃって、その方たちが、元総務大臣で岩手県知事もなさった増田寛也さん、今の日本郵政の社長さんですが、この方を担いだという選挙でした。
でも小池さんは、もともと自民党議員としての長いキャリアもありますので、そのキャリアと抜群の知名度を生かして、公認をもらえなくても自民党支持層にはきっちり食い込んで取る戦略を立てられました。
そして無党派層からも、高い知名度を生かしてしっかり票を取れるようにしたいという姿勢を選挙期間中も貫かれて、戦っていた印象があります。
鳥越さん出馬となったとき、一瞬は鳥越さんの知名度と期待感みたいなもので無党派層の支持票が鳥越さんに動きそうになったこともありましたが、それはほんとうに瞬間風速で終わり、鳥越氏への期待が剥げていくと同時に、小池さんがどんどんどんどん有利になっていったと。
最終的には、増田さんにも鳥越さんは抜かされたということになりますので、小池さんの戦略はけっこう当たったんだと評価できますね」
乙武 「僕はこの時の選挙を見てて『ああ、もうこれ小池さん勝ったな』って印象を受けたのは、石原慎太郎さんが『厚化粧のオバハン』みたいな悪口を言ったときに、感情的にならず『いやー私は顔にあざがあるので……』みたいな切り返しをしたとき。僕、小池さんって本当に票の取り方がうまいなあって思ったんですよね」
*編集部注:石原慎太郎元知事は、増田氏の集会に応援に行った際『大年増の厚化粧がいるんだな。これは困ったもんでね……』、『やっぱり厚化粧の女に任せるわけにはいかないね、これは』などと発言。その翌日、小池氏は『私は今日は薄化粧できました』とやり返した。
米重 「ちょっとデリカシーにかけるような批判などをうまく受け流したということで、批判した側の狭量な部分を際立たせたという点では、見事な返しだったと思いますね」
乙武 「なんかこういうおじさん社会の政界で、女性として頑張ってきた私っていう、ジャンヌダルク感をすごく演出してましたよね」
米重 「実際、今でも小池さんの支持というのは女性の方が強いんです」
支持層の広い小池氏に死角なし?
千葉 「では今回の7月に行われる都知事選を見ていきましょうか。現在の小池さんの支持率というのが、こちらです」
米重 「これは国政の支持政党別のグラフです。一番上の『支持する政党がない』がいわゆる無党派層ということになります。
ご覧のように、無党派層は青い部分、つまり支持すると答えられている方がかなり多いということになりますね。自民党支持層からも、半分以上は小池さんを支持しているということになります。
この時点で、小池さんは無党派と自民というかなりボリュームの大きいところを持っていて、さらに特徴的なのは立憲民主党の支持層なんですが、これも過半数以上を取っているんですね」
乙武 「お、本当だ! これちょっと意外!」
米重 「かなり割合高いですよね。やはり国政と地方政治はまったく別物ですので。外交とか安全保障とか、憲法改正も関係ないということになってくると、自民も立憲もまぁほとんど違いはないわけですよね。
そういうなかで、立憲民主党の支持組織のひとつでもある連合東京は、小池さんとかなり距離が近くてずっと小池さんを支持してきていますから、このまま小池さん支持でいくんだろうと言われています。
そういうところも考えると、上から3つのボリュームゾーンを全部抑えている小池さんは、相当強い候補だというふうに思います」
乙武 「小池さんがこれだけ強いというデータは、おそらくどの陣営も各党も把握していると思うんですけど、あえて対抗馬を出してくるとしたらどんな人物がいいんでしょうね?」
米重 「まあ、基本的には、さっきご覧いただいたグラフで無党派と自民党支持層、この2つの大きなボリュームゾーンで小池さん有利の状況を崩せる人、ということになりますかね。無党派層でも自民党支持層でも、小池さんよりも多くの票を分捕れる人じゃないとね。
その条件としては、無党派層に対してはとにかく知名度があることが大切だし、自民党支持層ということでは、この自民党の支持層をちゃんとまとめられる知名度なり大義が示せる人となってくるでしょうから、その両方の条件を満たす人となると、かなり限られてくるんじゃないかと思いますね。
だから東京都に関係あるかなしかは別にして、この2つの層の票が取れそうな人としては、たとえば小泉進次郎さんとか、その奥さんである滝川クリステルさんとか。こういうクラスの人が立って、どこまで勝負になるかな、という感じですね」
乙武 「橋下徹さんは?」
米重 「実際に調べたことはないんですが、橋下さんはあまり強く出ないんじゃないかと思います。橋下さんは自民党の人じゃないし、無党派層に対しては、たしかに知名度はありますけど、どうしても『大阪の人』っていう認知が大きいでしょうからね。
そうすると自民党支持層にしても無党派層にしても、小池さんよりも橋下さんの方が票が取れるというイメージは全然ないです」
乙武 「よく名前が挙がる丸川珠代さんはどうですか?」
米重 「丸川さんはこの前の参院選で東京選挙区1位当選ですけど、そのときの票数がね。音喜多さんに次いで、同じく自民党の武見敬三さんが最後に滑り込みましたが、丸川さんと武見さんの票をあわせても、前回の都知事選で次点だった増田さんくらいの得票数しかないので、かなり厳しいと思います。
丸川さんご自身の知名度が低いわけでは決してないですが、やはり小池さんと丸川さんだったら断然、小池さんの方が有名なのは確実に言えますから、無党派層に対しては小池さんが有利ですし、自民党支持層も小池さんの票を大きく削れるほど丸川さんにリアリティを持ってついてくるかというと、それも厳しいかと思います」
乙武 「じゃあ丸川さんクラスの有名な方が出てきて、小池さんと票を喰い合っている間に、たとえば山本太郎さんみたいな方が出てきて、それを野党が統一で応援して三つ巴になった場合、山本さんが浮上するみたいな可能性はないんですか?」
米重 「そうですねえ、その可能性も現状、やっぱり低いんじゃないですか。野党が統一したとしてもね、支持組織まで統一するわけではない可能性が高いんですよ。連合東京はずっと小池知事を支持してきてますから、これは変わらないんじゃないかと関係者はみんな思っていますし。
この状況の中で野党統一候補として立てて勝てる人と考えると、無党派層からも保守系からも支持をはがして持ってこれる人というのが、山本太郎さんを含めて思いつかないんですよね」
千葉 「有名なタレントさんとかはどうですか?」
米重 「まぁ勝ち目があれば出たい人はいると思うんですけど、正直、今回は都知事選の2期目の選挙なので、ちょっと無理がありますよね。
そもそも今まで東京都知事選というのは、現職が落選したことは一度もない選挙なんですよ。一度もね!」
千葉 「えーっ、すごい現職有利な選挙なんですね」
米重 「さらにね、2期目に出馬をした現職というのは、例外なく最多得票数を取っているんです。
前回小池さんは、291万票を取りましたが、今回ジンクス通りにいけば300万票以上は軽く取るんじゃないかとみられている、そういう選挙なんです。
そこに対抗して立って勝てる人って、いったいどんな人なんだっていうと、小池さんがなにかよっぽど大コケするような失点でもしないかぎりは、難しいんじゃないかと思っています」
乙武 「うーん、じゃあ週刊文春が毎週、カイロ大学主席卒業の噂に迫ればいいんじゃない?」
米重 「カイロ大学の件は、何度か報じられてますけど、結局裏が取れないネタなんですよね。小池さん側は、卒業したと言ってますし、その証拠として紙として卒業証書を提示しているわけですから、この状況について『そうじゃない』と立証するのは基本的には無理だと思います。ある意味取材側も、立証自体は諦めてやってるのかなと」
今後につながる「いい負け方」ができる人なら、出馬の意味はある
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乙武 「そうなると、小池陣営には死角なしですね」
米重 「そうですね。立候補すればかなりの確率で再選されるだろうと、今の時点では私も見ています。他の候補者の顔ぶれには関係なく、そうなるんじゃないかと」
乙武 「となるとほかに候補者が出るとなると、都知事選のあとで行われるであろう参院選に向けて党の認知度を上げたい山本太郎さんが出てきたりとか、都知事選で都知事の椅子を狙いに行くというよりは、その後のために出てくるみたいな感じですかね」
米重 「選挙には『いい負け方』と『悪い負け方』というのがありまして。よい負け方というのは、まあ戦ってみて思ったよりもいい勝負になったとか、知名度が上がったというような、そういう先につながる負け方ですね。そういう意味では、山本太郎さんは『いい負け方』ができる可能性はあるのかなと。
一方で丸川さんや蓮舫さんは、なかなかそれが難しい。負けたとき、プラスになるメリットが彼女たちには見当たらないんですよ。お二人とも知名度はまずまずあるわけで、わざわざ小池さんに勝負を挑んだからと言って、それで知名度が今より上がるわけじゃないし、かえって『やっぱり小池百合子には勝てない』という評価を下されてしまう。だから出ても『いい負け方』は難しい」
乙武 「そんななか、米重さんが『この人、出たら面白いんじゃないの?』って密かに期待しているのは誰なの?」
千葉 「わ、そこ聞きたいですね」
米重 「先ほどお名前をあげた滝川クリステルさんですね。すぐ直後にオリンピックを迎えますってことで、五輪招致のプレゼンで『おもてなし』とかおっしゃっていた方ですからね。まぁ、これはちょっと怖いもの見たさって部分が大きいわけですが」
乙武 「なるほど、血みどろの女性同士の闘いが見たいと」
米重 「私は激しい選挙が好きですから」
千葉 「あっははは」
乙武 「このまま行ったら商売的にもおもしろくないもんね」
米重 「そうですね、このままだと少々面白みに欠けますね」
乙武 「さぁ、どうなりますか。注目の選挙は7月5日となります。それでは今回はここまで!チャンネル登録と高評価、よろしくお願いします」
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