【医師監修】つわりの時期には頭痛もある? 頭痛の原因と7つのセルフケア

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一般的につわりは吐き気やおう吐などの消化器症状が主な症状とされますが、「頭が痛い」ことに悩まされるママたちも少なくないようです。頭痛が起こるメカニズムを対処法とともに紹介します。

この記事の監修ドクター
松峯美貴先生
医学博士、東峯婦人クリニック副院長、産前産後ケアセンター東峯サライ副所長(ともに東京都江東区)妊娠・出産など女性ならではのライフイベントを素敵にこなしながら、社会の一員として悠々と活躍する女性のお手伝いをします!どんな悩みも気軽に聞ける、身近な外来をめざしています。

http://www.toho-clinic.or.jp/

つわりの時期の頭痛のメカニズム

つわりの時期の頭痛については、主に次の3つの原因が考えられます。

ホルモンバランスの影響

プロゲステロンの分泌など、妊娠とともに大きく変化するホルモンバランスの影響で頭痛が起こることがあります。

「同様の理由で月経前症候群(PMS)でも頭痛の症状が出る人がいます。非妊娠時に、月経前に頭痛があった人は、つわりの時期にも頭痛が出やすいということもあるかもしれません」(松峯先生)

低血糖の症状

つわりのために食事が十分にとれず、低血糖を起こしたことにより頭痛が生じる場合もあります。

妊娠とは直接関係ない頭痛

その他、妊娠とは直接関係ない頭痛もあります。

特に、「片頭痛」と呼ばれる頭痛は妊娠・出産の可能性や予定がある性成熟期の女性に多い傾向にあり、さらに昨今はスマホやPC利用で「緊張型頭痛」を起こす人が増えています。

生活に影響するような痛みがある場合には、市販の鎮痛薬などは利用せず、産科や頭痛外来(妊娠を告げて)で相談を。必要に応じて妊娠中も服用できる薬が処方されます。

なお、妊娠20週以降では妊娠合併症の一つ「妊娠高血圧症候群」の症状として高血圧による頭痛が生じることもあります[*1]。

見逃してはいけない頭痛とは?

頭痛には、妊娠にかかわらず脳の病気が原因の場合など、注意が必要な頭痛もあります。次のような場合はすぐに119番に連絡してください。
以下の症状では、一時的に起こってその後回復したと思った場合も、必ず医療機関を受診してください。

・ これまでに感じたことがない強い頭痛
・ 頻度と痛みの強さが増す
・ 吐き気やおう吐を伴う
・ 片方の手足に力が上手く入らずうまく動かせない、またはしびれなどがある
・ ろれつがまわらない、言葉が出てこない
・ けいれん発作を伴う
・ 片方の目が見えない、物が二重に見える、視野が欠ける
・ 意識を失う

頭痛のセルフケア

頭痛を軽減するために自分でできることをまとめます。病気などが原因ではない場合は、無理のない範囲でできることを試してみましょう。

① 応急の対処

頭が痛い時は、痛む部分を保冷剤などで冷やし、刺激になる光や音を避け、静かな空間で休みます。こめかみを押さえ血流をやわらげると、痛みが鎮まることもあります。

緊張型頭痛の場合は、目を休め、肩や首のこりをほぐしたり、温めること、姿勢を変えることが症状緩和につながる場合もあります。

② 頭痛ダイアリー

痛みが治ったら、自分がどのようなきっかけや環境で頭痛を感じやすいか知るためにも頭痛ダイアリーをつけ、原因を遠ざける工夫をしてみましょう。

◆頭痛ダイアリー(日本頭痛学会)
http://www.jhsnet.org/dr_medical_diary.html

③ 低血糖予防

つわりのために食欲がない場合は、スポーツドリンクや果物(糖分と水分補給)などをこまめにとっていきましょう。また食事の回数を増やすのもOK!
「1日4または5回×半人前〜0.7人前程度(控えめ)」など分割食を試してみるのもいいかもしれません。

④ 休養

脳の休養となる睡眠を十分にとりましょう。就寝前、覚醒刺激が強いブルーライトを発するテレビやPC、スマホから離れてのんびりし、自然な眠気を待って布団に入ると寝つきがよくなります。

⑤ ストレスケア

ストレスが強い時には脳が喜ぶような手仕事をするのがストレスコーピング(ストレス対処術)としてよいとされています。

「つわりの多様な症状は心身のストレスとなるので、普段以上にストレスケアが大切です。
脳の健康とストレスケアの第一人者は『あまり興味のないテレビをぼーっと見るなどは脳にとってストレスになることがあるが、つい没頭してしまうような手仕事をしていると脳が活性しているときに出る脳波P300が広範囲に出て、ストレスケアになると言える』として、毎日“ほどほど(いい加減)”にやることを推奨しています。
調理や手芸、DIY、プチ模様替えなど、短時間、集中して行ってみましょう」(松峯先生)

⑥ ストレッチ

体調を整え、全身の緊張をほぐす適度な運動を続けましょう。妊娠の経過に問題がなければ、ストレッチのほかウォーキング、マタニティヨガ、マタニティビクス、マタニティスイミングなども推奨されています[*2]。

⑦ こりほぐし

肩など特定の部分がこっているようであれば、温めながらほぐしましょう。入浴中にマッサージをするのもいいですね。パートナーにマッサージをしてもらうのも、心身がほぐれそうです。

つわりの時期の消化器症状以外の症状

つわりの時期には頭痛のほかに、食欲不振や眠気、だるさ、唾液が増えるといった症状がある人もいます。

主として消化器症状が続くことが多いため、食欲が落ちるのは避け難いとされています。「食べられるものを食べられるときに食べられるだけ食べる」のがよいと考えられていますので、無理をしなくてOK! 1度にたくさん食べられなくても、増やせたら食事の回数を増やしてみましょう。先に③で紹介した分割食も試してみてください。

唾液については、妊娠中は一般的には分泌が少なくなると考えられているのですが(原因はホルモンバランスの変化の影響)[*3] 、逆に妊娠初期には唾液が増えたと訴える人が少なからず見られるようです[*4]。

「なぜ唾液分泌が増える人がいるのか、詳しくはまだわかっていません。吐き気や膨満感といった消化器症状がある時は、唾液を飲み込もうとするため、唾液が多いと感じる、というのもあるかもしれません。
唾液は口の中を浄化する作用があるものなのであまり心配せず、唾液が多いと感じたら、唾液を増やす酸っぱいもの、味の濃いものをとりすぎないように気をつけてみましょう。
そして食後のうがいなど口腔ケアで清潔と適度なうるおいを保ちましょう。食欲不振で食事やおやつの回数を増やす場合は毎食後のケアを心がけてください」(松峯先生)

まとめ

つわりの時期に頭痛が重なるととてもつらいですね。無理やがまんをせず、症状について主治医や頭痛外来で相談し、セルフケアについてもアドバイスをもらいましょう。早期に症状を軽減し、なるべく快適につわりの時期を乗り越えてください。

(文・構成:下平貴子、監修:松峯美貴先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]病気がみえるVol.10産科 第4版 ,p102, メディックメディア, 2018.
[*2] 産婦人科診療ガイドライン―産科編, p115-117,日本産科婦人科学会, 2017.
http://www.jsog.or.jp/uploads/files/medical/about/gl_sanka_2017.pdf
[*3] 産婦人科診療ガイドライン―産科編, p329,日本産科婦人科学会, 2017.
http://www.jsog.or.jp/uploads/files/medical/about/gl_sanka_2017.pdf
[*4] 病気がみえるVol.10産科 第4版 , p87,メディックメディア, 2018.

古賀良彦著「脳の疲れをとる本」,方丈社,2018