映画「アボミナブル」のカルトン監督、現在中国の真の姿を世界へ

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映画「アボミナブル」のカルトン監督、現在中国の真の姿を世界へ

カナダ・トロントで開催されたトロント国際映画祭で、映画「アボミナブル」のワールドプレミアに出席する同作のジル・カルトン監督。(2019年9月7日撮影、トロント=新華社配信)

 【新華社ロサンゼルス2月27日】中米合作アニメ映画「アボミナブル」の監督と脚本を務めたジル・カルトン氏が新華社の独占インタビューに応じ、「現在の中国とそこで暮らす人々の真の姿を世界にきちんと伝えたかった」と語った。

 「アボミナブル」は、CMCキャピタルパートナーズ傘下で中国上海を拠点とするパール・スタジオ(旧社名はオリエンタル・ドリームワークス)と、米ユニバーサル・ピクチャーズの子会社で米ロサンゼルスを拠点とする映画制作大手ドリームワークス・アニメーションが共同制作。異文化間の協力と創造的な構想を共有する能力の試金石となるこのアニメ映画は、北米興行収入6千万ドル(1ドル=約110円)超で、首位デビューを果たした。累計興行収入は1億9千万ドルで、2019年の中米合作映画で最も成功した作品の一つとなった。

 カルトン氏は新華社に対し、「中国の大部分はまだ世界に知られていないので、この作品の中で伝えたいと強く感じた」と語った。

 制作予算7500万ドルとされる「アボミナブル」は、中国人の10代の少女が自宅アパートの屋根の上で出会った未確認動物イエティを雄大なヒマラヤ山脈に帰郷させ、家族と再会させる壮大な物語だ。

 一部の映画評論家は「アボミナブル」を中国へのラブレターと称賛。芸能誌「ハリウッド・リポーター」は、「この見事な制作で分かりやすい作品は、太平洋の両側での観客にうってつけだ」と評した。

 カルトン氏は、「『イエティ』映画の脚本をやらないかと持ち掛けられた。テーマは決まっていたが、ストーリーはまだだったので、私は何も描かれていないキャンバスの上に創作することができた。この映画特有のイエティにまつわる新たな物語を作るというアイデアにわくわくした」と語った。

 中国の物語をきめ細かく正確に制作するという任務を負った欧米人として、カルトン氏は自身とチーム全員が詳細を把握し、中国人の観客だけでなく世界中の観客にこの映画を本物らしく感じさせることが極めて重要だと感じていた。

 「中国の地方部を調べれば調べるほど、出会った素晴らしい風景や水路、そして象徴的な歴史的建造物に魅了された」とカルトン氏は話した。

 文化的、地理的な詳細を正確に伝えるために、カルトン氏はパール・スタジオの共同制作者らを大いに頼った。

 カルトン氏は、「パール・スタジオのパートナーたちがいなければ、ここまで本物らしく仕上げることはできない。(上海をモデルにした)現代的な都市や、看板やフードワゴン、スクーターといった細部、そしてその街から本能的に感じるもののデザインにおいて、大いに助けてもらった」と語った。

 パール・スタジオは、劇中に登場する主人公の少女のアパートを一般的な中国の建物らしく見えるようデザイン。さらに、家の中で靴を脱ぐ習慣や、夕食で誰が最初に席につくかといった適切な行動様式や習慣、文化的な作法を利用し、登場人物の振る舞いが中国人らしくなるよう手助けした。こうした習慣などは、欧米の観客にはほとんど知られていない。

 カルトン氏は、「ドリームワークスは、パール・スタジオと日々協力して作業した。ストーリーやキャスティング、キャラクターデザインと言った重要な決定事項はすべて、ドリームワークスとパール・スタジオが協力して判断を下した。これらの分野では意見交換を行った」と語った。

 より典型的なディズニーキャラクターとは異なる若い女性主人公を生み出すことも、カルトン氏にとって重要だった。カルトン氏は、「私が生み出したかったのは、強い女性主人公。典型的なお姫様ではなく、意志が強くリスクを恐れず、中国からヒマラヤ山脈までの一見不可能と思える旅を成し遂げることのできる少女だ」と語った。

 カルトン氏は新華社に対し、中国のアニメ産業の未来は明るいと語り、「そこには間違いなく希望があり、映画制作への熱意を持った才能ある人材がいる。映画制作に関して言えば、中国ではまさに想像力が爆発している。とても興味がそそられる」と述べた。

 「パール・スタジオが米企業との提携を選択したという事実は、中国で世界に届く超大作映画を制作するために必要な措置を取る用意があることを示している。中国が近い将来、アニメ大国となっても不思議ではない」とカルトン氏は話した。

 カルトン氏は、中国を舞台にした物語の中にはアニメで試してみたいものが多くあると指摘し、「中国の民間伝説の核心には、アニメにあつらえ向きな奇抜さと想像力がある」と語った。

 一方、カルトン氏は、中国が世界市場に進出するならば、「普遍的なテーマを持つ物語、登場人物をどんな文化にも関連付けられる物語、共感を呼ぶ物語を選ぶことが重要だ」と助言した。

 カルトン氏は、「私にとって物語とは、文化を分けるものではなく、私たちみんながどれほどよく似ているかを示すものだ。これこそが物語の魔法だ」と語った。