どうカウントする?誰があてはまる?履歴書の扶養家族欄の書き方

履歴書を作成しているとき、「あれ?」と悩む欄はないでしょうか? 学歴や職歴などなじみのあるものはともかく、『扶養家族』の欄は『聞いたことはあっても詳しい意味は知らない』というケースが見受けられます。この記事では、履歴書の扶養家族欄に関する情報をまとめました。今一つ分からないという方はぜひ参考にしてください。

扶養家族について知ろう

ではまず初めに、『扶養家族』という言葉について基本的なことを押さえておきましょう。履歴書に記載する扶養家族とは、どのような定義をもつものなのでしょうか?

扶養家族(被扶養者)=自分の収入で養っている家族

扶養家族とは、被扶養者ともいわれ『自分の収入で養っている家族』のことを指します。生計を共にする家族のことで、税法上は納税者本人が養う家族(両親や子供)のことです。

なぜ履歴書に扶養家族を書くのかというと、

  • 所得税の計算
  • 社会保険の手続き
  • 手当の支給(家族手当・住宅手当など)
  • 社宅の必要有無

などを企業側が確認をするためです。未婚・既婚にかかわらず、自分が養っている家族がいる場合は、扶養家族という定義になり、扶養家族欄への記入が必要となります。

『扶養家族』と『配偶者』は違う

履歴書の様式では

  • 配偶者の有無
  • 扶養家族数
  • 配偶者の扶養義務

と3つの欄に分かれています。

配偶者とは『婚姻関係を結んだ夫や妻のこと』です。そのため、扶養家族は生計を一にする家族のことですが、配偶者は仮に別の場所に住んでいても、婚姻関係が結ばれていれば配偶者と位置づけられます。つまり同居をしていなくてもOKなのです。

配偶者に関しては、配偶者の収入により扶養義務が発生するのか否かが決まります。

配偶者の状態	扶養義務の発生
働いていない(収入がない)	○
働いている(年収130万円未満)	○
働いている(年収130万円以上)	×

扶養義務が発生すると、扶養家族としてカウントしてしまいがちですが、配偶者は扶養家族にはカウントされません。間違えやすいので注意しましょう。

扶養家族にカウントされる条件とは?

扶養家族にはカウントされる条件があります。扶養という定義は、健康保険上の定義と税法上の定義、異なる2つの定義があります。

健康保険上の被扶養者(扶養家族)

健康保険上では扶養している家族のことを『被扶養者』と呼びます。健康保険上の被扶養者の条件は以下のとおりです。

  • 内縁を含む配偶者・子・孫・兄弟姉妹・父母等の直系親族
  • 別居の場合も含まれる
  • 祖父母・甥・姪など3親等以内の親族
  • 内縁の配偶者の父母・連れ子
  • 年間の収入が130万円未満
  • 60歳以上・障害者の場合は180万円未満

参考

扶養家族とは?親を扶養に入れるメリット、対象となる年収は?|fuelle

税法上の扶養家族

税法上の扶養家族は健康保険上の被扶養者とは条件が異なります。

  • 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)
  • 年間の合計所得金額が38万円以下(収入が給与のみの場合は、給与収入が103万円以下)
  • 生計を一にしていること
  • 扶養親族が青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと
  • 白色申告者の事業専従者でないこと
  • 都道府県知事から養育を託された児童(里子)や市町村長から養護を委託された老人
  • 別居していても生活費や医療費などを仕送りしている場合

参考

扶養家族とは?親を扶養に入れるメリット、対象となる年収は?|fuelle

履歴書には「健康保険上」の扶養家族を記入する

つまり、履歴書に記入する扶養家族欄には

  • ほかの健康保険組合で被保険者となっていないこと
  • 収入が所定の条件を満たしていること

にあてはまる内容を書きましょう。仮に配偶者と子供がいて、すでに子供が配偶者の扶養に入っている場合は、扶養人数は0ということになります。また、子供がすでに就職していて一定の収入がある場合なども扶養家族としてはカウントされません。

履歴書の扶養家族欄・書き方と注意点をチェック!

では実際に、履歴書に書く扶養家族の書き方をケース別に見ていきましょう。

ケース① 独身の場合

独身の方の場合は、基本的に配偶者なし・扶養家族は0となります。

ただし、自分の親族に主な生活費を仕送りしている、同居している親族の生活の面倒を見ているという場合は、扶養家族としてカウントすることができます。

ケース② 配偶者が専業主婦(夫)の場合

結婚していて、配偶者が働いていない場合は収入が0となるので、配偶者も扶養家族としてカウントされます。ただし、履歴書には『扶養家族数(配偶者を除く)』となっているので、実際の扶養家族の数には入れません。また、子供の年齢によって収入がある場合は、扶養家族としてカウントされませんので注意しましょう。

ケース③ 共働きの場合

結婚をしていて共働きの場合は、配偶者の収入によって扶養の有無が異なります。

条件	配偶者の扶養の有無	扶養の人数
配偶者の年収・130万円未満子供・収入なし	あり	子供の人数
配偶者の年収・130万円未満子供・収入なし	あり	子供の人数
配偶者の年収・130万円以上子供・収入なし配偶者が子供を扶養	なし	0
配偶者の年収130万円以上子供・収入あり	なし	0

参考

履歴書:扶養家族欄の書き方|配偶者・扶養義務の考え方や扶養家族数の数え方【専門家監修】|マイナビ転職

配偶者が正社員ではなくパートやアルバイトで働いていたとしても、収入によっては配偶者の扶養義務が成立しないケースもあります。

ケース④ 別居している直系親族がいる場合

別居の場合でも、配偶者(内縁や事実婚も含む)・子供・孫・兄弟姉妹・父母等の直系親族の生活を主に面倒を見ている場合は、扶養家族としてカウントすることができます。

例えば、別居している親の面倒を見ている場合や、子供に仕送りをしている場合などは、扶養家族として認められます。

こんなときどうする?よくあるQ&A

扶養家族の定義は2つあるので、『こういう場合はどうなんだろう?』というイレギュラーなケースも出てきます。ここではよくあるQ&Aについてご紹介します。

① 離婚した場合は独身と同じ?

配偶者と離婚した場合は

  • 配偶者の扶養義務なし
  • 子供がいる場合は条件によって扶養家族としてカウントする

となります。配偶者がいないという点では独身と同じですが、子供がいる場合は扶養義務が生じます。

② 内縁者・同居者がいる場合は扶養家族に入れる?

通常『配偶者』とは、婚姻関係にある相手を指しますが、

  • 生計を一にしている
  • 同居している

という事実婚に該当する場合も、配偶者としてみなしても問題はありません。ただし、税法上の扶養とは異なるので、入社後に再度確認する必要があります。

③ 不利な条件の場合は書かなくても良い?

  • 子供が小さい
  • 親の介護をしている
  • ひとり親家庭

など、就職に不利と思われがちな状況の方の場合、書いたら採用してもらえないのではないかと不安になることがあります。確かに、勤務できる時間が限られてしまうケースでは、面接時にどの程度働けるのかといった確認をされるかもしれません。

ただし、不利かもしれないとうそを書いてしまうと、入社後に大きな負担が掛かってきます。また、虚偽の記載をしたということで、解雇の対象になってしまう可能性もあるのです。家族の状況で不採用になった場合は、仮に採用されても働きにくい環境かもしれないですし、周囲から理解を得られずに追い込まれてしまうかもしれません。

うそは書かず、現状を受け入れてくれる企業をあらためて探した方が賢明といえるでしょう。

④ 扶養家族欄で企業は何を見るの?

企業の採用担当者は、扶養家族欄から応募者の家族状況を知りたいと思っています。子育て・介護など業務に影響する状況であるのかどうかという点を見ています。扶養家族の有無や人数などが採用に影響する可能性は低いといえるでしょう。

扶養する家族が多いからといって、不採用になることはありません。面接時に何か聞かれたときに、きちんと答えることができれば問題ありません。入社後の手続きにおいて、扶養家族は大きく関わってきます。虚偽の記入はせず、ありのままの状態を書くようにしましょう。

まとめ

履歴書に書く扶養家族とは、『自分の収入で養っている人』のことです。収入や同居・別居などによっても扶養家族数は変化しますので、家族の収入などはきちんと把握しておきましょう。

企業側は応募者の家族状況を把握する目的で扶養家族欄を見ています。虚偽の記入はせずに正確な情報を記載するように心がけてください。

参考

履歴書の書き方|日経キャリアNET

履歴書:扶養家族欄の書き方|配偶者・扶養義務の考え方や扶養家族数の数え方【専門家監修】|マイナビ転職

履歴書「扶養家族欄」の書き方|こう書けばOK!書き方の注意点&ケース別の例文あり|エン転職

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