IDC、2020年世界のスマートシティ関連テクノロジーの支出額は1,240億ドルと発表

IDC Japan株式会社は、スマートシティ関連テクノロジーの支出額の予測を、最新のWorldwide Smart Cities Spending Guideで発表した。同Spending Guideは、スマートシティ関連テクノロジーのビジネス機会について、地域別と世界全体のレベルで数値化して予測している。9地域の支出データが5つの戦略的優先事項と8つのテクノロジーカテゴリーにわたる36のユースケースとともに利用できる。さらに、このSpending Guideでは補完的な都市データセットを提供して、9つの地域にわたる207の都市について、スマートシティ関連テクノロジー支出額を示している。これによると、今年、スマートシティ関連テクノロジーに対する世界全体の支出額は、2019年比18.9%増の約1,240億ドルに達する見通しだ。2019年、スマートシティ関連テクノロジーへの投資が最も活発に行われた上位100都市の支出額が、総支出額の約29%となっている。短期的にはこれら上位の都市が成長を維持する見込みだが、相対的に小規模なプロジェクトに投資する中小の都市も、幅広く分布している。米国IDC Customer Insights & Analysis Group プログラムマネージャーのセレナ・ダ・ロル氏は、「今回のWorldwide Smart Cities Spending Guideでは、新たにスマート港湾、スマートスタジアム/キャンパスが追加され、スマートエコシステムに関するIDC予測の範囲がさらに広がっています」と述べた。続けて、「このSpending Guideでは、200以上の都市に関する支出データも掲載されています。年間1億ドル以上を投資している都市の数は、80未満であることが分かります。加えて、年間支出額100万ドル以下の都市で、全体の約70%の投資が行われています。大規模プロジェクトで培った経験を活かせるスマートシティソリューションのプロバイダーにとって、中小の都市向けに手ごろなスマートイニシアティブを実施する絶好の機会が訪れています」と述べた。2019年は、主にスマートグリッドに牽引される形で、回復力のあるエネルギーとインフラに関連するユースケースが全体の3分の1以上であった。データ駆動型公共安全およびインテリジェント交通制御は、全支出額に占める割合がそれぞれ18%と14%という結果となった。最大のユースケースに注目すると、依然としてスマートグリッド(電気およびガス)の投資シェアが最大だが、今後、市場が成熟して他のユースケースが主流化すると、スマートグリッドの相対的な重要性が徐々に下がっていくと予測されている。次いで、固定監視画像データ解析、高度化した公共交通誘導、インテリジェント交通管制、コネクテッドバックオフィスの順だ。これら5つのユースケースを合わせると、現時点で全支出額の半分以上となる。5年間の予測期間で見ると、支出が急激に伸びるユースケースはvehicle-to-everything(V2X)接続、デジタルツイン、および警察官用ウェアラブルだ。シンガポールは、前回予測に続いてスマートシティ関連テクノロジー最大の投資国の見込みである。東京は、夏季オリンピック大会に向けた投資を中心に、2020年、支出額が2番目に大きな都市になる見通しだ。次いでニューヨーク、ロンドンと続く。これら4都市はいずれも、2020年のスマートシティ支出額が10億ドルを超えると予測されている。地域別では、米国、西欧、中国が予測期間全体を通じて、全世界のスマートシティ関連テクノロジー支出額の70%以上を占めると予測され、2020年にスマートシティ関連テクノロジー支出額の伸びが最も大きいと予測される地域は、ラテンアメリカおよび日本である。米国IDC Government Insights & Smart Cities and Communitiesバイスプレジデントのルスビー・エスナー氏は、「地域政府や地方自治体は、テクノロジーの進歩に後れを取らないよう、リスクマネジメント、住民の期待水準、イニシアティブの拡大に必要な資金といった観点から、新たな機会を活用する努力を続けています」と、述べている。また、「多くの都市で、スマートシティのユースケースを予算に計上し、今まで以上に資金繰りの努力が行われています。その結果、投資が活発化しています」と述べた。

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