音を奏で、体で打つ 和太鼓の魅力

「ドロ・スク、ドロ・スク、ドンドンドンドンッ!」。和太鼓グループ「タイコマサラ ブルックリン道場」を率いる倉島ヒロさんの掛け声に合わせて、生徒たちが打ち鳴らす力強い和太鼓の音が、床や壁に鳴り響く。

同グループは、大小の和太鼓を中心に組み合わせて、全員で奏でる「組太鼓」という形式で演奏する、御諏訪(おすわ)太鼓の集団で、諏訪太鼓の伝統曲と倉島さんのオリジナル曲を演奏する。

この日は初心者対象のクラスだったが、レベルを超えて中級者や上級者も自由に参加。ちなみに初心者は、まずバチの持ち方や足の位置などを学んだ後、基本的な打ち方やリズムを学んで、簡単なメロディーとフリを入れた曲の練習に入る。

みんなで輪になって、太鼓を叩く「円陣太鼓」の練習が始まった。「ドン・ドン、ドドドンッ、ドン・ドン」と、倉島さんが掛け声と共にバチで拍子を取り、生徒は音に合わせて、体で覚えていくというやり方だ。

2001年創設の「タイコマサラ」には、人種や職業を問わず、太鼓を愛する人達が集まっている

中太鼓と大太鼓のグループがリズムを合わせ、音を重ねていく。「こっちのグループはドンッドンッ、ドドドン、こっちのグループはンパッ、ンパッ、ンパッ」との倉島さんの指示に従って、繰り返し練習が続く。

そこに、今度は締太鼓も登場。「まず僕がやってみます。そんなに難しくないので」と、倉島さんが生徒2人を指導するが、なかなか他の太鼓の音と合わなくて何度もやり直す。

何度も練習を重ねるうちに、ようやく三つの太鼓の音がオーケストラのように、ぴったりと重なり、最後のポーズも「ハッ!」と決まって、歓声が上がった。

国連のグラフィックデザイナーでインドネシア出身のディタ・アングラエニさん(中級)は、参加して1年。「友達が太鼓ゲームをしているのを見て、太鼓っておもしろそうだなと思って、参加しました。どんなレベルの人もオーケーで、みんなで練習して一緒に上達していくのがすごくいいです」と話し、練習日を楽しみにしている。

毎年ブルックリンの桜祭りなどのイベントに招かれて演奏している

エネルギッシュなパフォーマンスが続く

アナリストのケイト・カティグバックさん(初級)は、「ドレミを習う感覚でドンドコドンのリズムを学ぶので、分かりやすいです。太鼓は音楽に乗せて踊るので、いいエクササイズになり、特に、肩や腕の筋トレになる上に、頭も使うので脳トレにもなります」と笑顔。

太鼓歴6年の、ニュージャージー州立大学心理学科の教授の小川由美子さん(上級)は「日本の伝統文化が学びたくて参加しました。仕事でストレスがたまった時に、みんなで組太鼓を打つとすっきりします。特に全員の音がピタッと合った瞬間は、気持ちよくて病みつきになります」と声を弾ませる。

「間違ってもいいから、たたいて覚えてほしい」という倉島さん。そんな教え方に生徒たちは、大きな信頼を寄せている。

今週の先生

倉島ヒロさん

太鼓をたたくことを通じて、自分を表現してほしいと思っています。人生をリセットしたい人や、二度目の人生を楽しみたいという人など、誰でも大歓迎です。最初はストレス発散でも構いません。クラスでは、みんなで教え合いながら、上達していきます。太鼓をたたいて音楽の伝道師になっていただき、普段と違う、非日常を楽しんでほしいです。

Taiko Masala Brooklyn

毎週土曜日にブルックリンのスタジオ(781 Kent Ave., Brooklyn, NY 11205)で、 午後1時〜初心者、2時〜中級者、3時〜上級者の各クラスを開催。 5歳〜参加可。日曜日にリズムクラスも実施。 【問い合わせ】 info@taikomasala.com/taikomasala.com

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