バレエダンサー: 小平紘子さん

ニューヨークで奮闘する日本人たち。その新しい発想、夢に向かって走る姿は、私たちを常に刺激する。今、輝いている新人に熱い思いを語ってもらい、また推薦者からの応援メッセージも聞く。


——バレエをスタートさせたきっかけは何ですか?

地元・茨城でのおけいこの選択肢が、水泳かバレエしかなったんです。水泳はおぼれている子や泣いている子を見て「あんな危ないことはやらない」と、選択肢から外しました(笑)。バレエは7才になる直前にスタートしたのですが、全てが楽しかったですね。よく覚えているのは、おけいこ2日目に、右足を出さなければいけない動きの時に左足を出してしまい悔しくて泣いたこと。あれで本気になりました。

——プロになろうと思ったのはいつ頃ですか?

学業との両立が難しくなる中学生に両親と話し合い、プロとしてやっていくと決めました。高校生になり、都内の有名カンパニー付属のジュニアスクールに入り、茨城から都内に週2回、片道1時間半かけて通いました。「プロの道」を強く意識したのは、コンクールに出る子たちを見て刺激を受けた頃からですね。

——海外での活動に興味を持ったきっかけは?

日本と海外のバレエの違いについて勉強したいと思い、高校を卒業してすぐカナダに行きました。初めての海外でしたが、オーディションツアーだったので1日おきに都市を飛び回り、訳が分からなかったです(笑)

その後カナダに2年ほどいたのですが、ある日「どこの国で働きたいの?」と聞かれ、視野を広げてみようと思い、ドイツに移りました。その際、他国にもオーディションを受けに行ったのですが、自分には北米のスタイルが合っていると気付きました。これはヨーロッパで違うスタイルを見たからこそ見えたことだと思っています。

そしてひょんなことからニューヨークでのオーディションに参加し、レッスンを受ける中で、「ここが一番いいかも」と思い、当地に拠点を移しました。

——ニューヨークにひかれた理由は何でしょうか?

いろいろな人がいて、たくさんのカンパニーがパフォーマンスに来て、他国よりもさまざまなものが見られる部分。また、住んでいる場所が違うとしぐさなどが異なり、表現に違いが出るので、それを見比べる事ができるのも魅力的な部分の一つです。

——フリーで活躍していますが、大変なことは?

全部ですかね(笑)。自分の良さをどう相手に売り込んでいくかを学ばなければならない。何をするにも自分次第なので不安もありますが、何かを作り上げる際にはこれくらい緊張感のある環境の方が合っているな、と感じています。

——今後チャレンジしたいことはありますか?

ニューヨークはアーティストのコミュニティーがしっかりしていて、情報交換が盛んに行われているのが良い部分だなと思っていて。今まで自分が学び、吸収した事を還元したいという気持ちが大きくなってきました。まだ形ははっきりと見えていませんが、当地に来て何か成長しようと思っている人が、消化・表現できる場所を作りたいですね。

小平紘子さん

■2011年に横須賀国際バレエコニューヨークで奮闘する日本人たち。 その新しい発想、夢に向かって走る姿は、私たちを常に刺激する。 今、輝いている新人に熱い思いを語ってもらい、また推薦者からの応援メッセージも聞く。 ンクール奨励賞受賞。12年からカナダ、ドイツ、クロアチアなどでの活動を経て、15年に来米。 現在フリーとして活動。 Instagram: @rocogigio


『新人の日常チェック!』 彼らは日常をどうやって過ごしているのか。仕事場、オフの姿を追う。

専門はバレエ。これまでに、「ジゼル」「くるみ割り人形」などに出演している

フリーランスなので、公演団体や場所はさまざま。ボストン拠点のJose Mateo Ballet Theateによる「くるみ割り人形」では、シュガープラムの精に抜てきされた

「予定はぎっしり詰まっている方が好き」とのことだが、オフにはアート鑑賞を

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