企業 対応に苦慮 県内一斉休校

子育て世代が従業員の3割を占める平和食品工業。ランチの提供休止など人手が必要な業務を一時的に見直すことを検討している=28日午後、国富町

 公立学校のほとんどが3月2日から当面臨時休校になることとなった28日、保護者らへの配慮で国から協力を求められている県内企業にも動揺が広がった。多くの企業では、休日の取得や勤務時間の短縮などを希望する従業員の意向を把握する作業に追われる一方、在宅勤務の導入で対処する事業所も見られた。休日増加による収入の減少分を補う国の施策を求める声も上がった。
 鶏の炭火焼きなどを製造販売する平和食品工業(国富町、花堂伸樹社長)は従業員の約3割に当たる12人が、高校生までの子どもを持つ母親。このうち5人に小学校低学年の子どもがおり、28日朝に一部の従業員から休みに関する相談があった。
 既に受注している商品の製造に加え、店舗でのランチ営業もあるため、花堂社長は「通常よりも少ない人員で回すのは難しくなるかもしれない」と懸念。事態が収束するまではランチ営業を休止し、持ち帰り専門にすることを検討する。
 大手も対策を急ぐ。従業員計約2500人を抱える宮交グループは全員対象のアンケートを実施し、勤務時間の変更を求める声を集計中。宮崎銀行(宮崎市)は希望者の休暇取得を認めることを決定した。宮崎山形屋(同)は、既に有給休暇を上限まで取得している従業員の休暇取得にも、部署内での調整の上で応じ、早番や遅番など固定シフトにとらわれない勤務時間も認めるという。
 このはな不動産(延岡市)は小学生がいる従業員向けに、チラシ制作や契約書作成の下準備など在宅でも業務を継続できる態勢を整えた。在宅勤務に切り替えるか休暇を取得するかについては、週末に判断してもらうという。
 休校が長引くことも考えられるため、国による補償を求める声も聞かれた。宮崎市清武町の食品製造業「イート」の木原奈津子社長は「『責任を持って対応する』という国の言葉は格好良いかもしれないが、私たちの商品を製造する人間を補充してくれることはできない。有給休暇取得が証明されれば助成金が出るような取り組みを考えてほしい」と要望した。

© 株式会社宮崎日日新聞社