保護者「仕事休めず」  県内一斉休校

授業を終え下校する児童=28日午後、宮崎市

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う文部科学省の休校要請を受け、県内でも3月2日から順次、全ての公立小中高校、特別支援、中等教育学校が臨時休校となることが28日、決まった。突然の決定に、休校期間中に子どもの預け先がない保護者らは戸惑いの声を上げた。保護者が休日を取得しやすい環境づくりを求められている企業も対応に頭を悩ませており、各方面に影響が広がっている。
 「子どもはどこに預けたらいいのか」「仕事を休むわけにはいかない」。児童の保護者は、子どもの預け先の確保や仕事との兼ね合いに不安感を抱くなど戸惑いが広がった。休校中に多くの子どもたちの利用が想定される児童クラブの関係者からは「スタッフが足りず運営できるのか」と人繰りを心配する声が上がる。
 「小学生の3人を残して家を離れるわけにはいかない」。宮崎市鶴島3丁目、会社員末並賢宜(たかのり)さん(37)は不安を募らせる。妻はパート勤めで、夫婦の両親は共に働いているため預け先がないという。「どちらかが有給休暇を取るしかない」と話すが、「仕事を急に休めば、同僚にも迷惑が掛かる」と休暇取得にためらいを感じている。
 ひとり親世帯も悩みを抱える。小学生から高校生の3人の子どもがいる市民団体代表の松田葵美香(きみか)さん(43)=宮崎市宮崎駅東3丁目=は「母子家庭は収入の不安があり、簡単に仕事を休めない。子育てと仕事の両立に悩む親は多い」と危惧する。
 同市内の小学校では28日、3月2日午後からの臨時休校に備え、絵画や工作など多くの荷物を持ち帰る児童の姿が目立った。行事が取りやめになった学校もあり、同市・大塚小2年の秀(ひで)あかりさん(8)は「お別れ遠足がなくなった。楽しみにしていたので、すごく悲しい」と漏らす。
 同市・本郷小4年の千代森巧眞君(10)は「友達に会えなくなるし、家にずっといるのは退屈する」と、休校中は自宅近くの児童館に通う予定にしている。母の倍世(ますよ)さん(49)は「共働きなので児童館頼みだ」と話す。
 子どもたちの重要な受け皿となる児童クラブだが、通常の開所は放課後から。休校中は運営時間を日中にも拡大する必要があり、同時にスタッフの確保にも追われている。同市内で児童クラブを運営するNPO法人代表の50代女性は「支援員は通常の平日の2倍となる20人が必要だが、めどが立たない」と嘆く。臨時休校の措置に対し「多くの子どもを長時間預かれば学校の環境と同じ。休校で感染拡大は防げるのか」と疑問を呈した。

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