【解説】「結論ありき」は否めず 石木ダム事業継続 是認

 石木ダム建設の利水面の事業再評価で、第三者の検討委員会は事業の継続を承認した。ただ、審議では佐世保市水道局の方針案をそのまま受け入れる場面が目立ち、「結論ありき」で進められた印象が否めない。
 反対派が「過大」と疑問視する水需要予測について、市水道局は人口減少を想定しながら、全国の同規模自治体の平均値に近づき、「市民1人当たりの水使用量は増える」と試算。この点は反対派との間で賛否が割れるが、目立った議論はなかった。新たに確保するべき水源量は1日4万立方メートル程度。前回の再評価とほぼ同じ数字で、石木ダムで賄う水量と合致した。代替案の検証や費用対効果も前回と同様の結論だった。
 検討委は市水道局に常設する諮問機関で、水道行政の基本計画となる「ビジョン」の策定にも携わった。もともと石木ダム建設を肯定する立場で、委員の1人は建設推進団体のメンバーでもある。事業に懐疑的な意見を持つ委員を含めず、審議の「中立性」を担保できたのか疑問が残る。
 市は石木ダムの必要性を市民に丁寧に説明するとしているが、再評価の一般傍聴は中継映像を介して別室で受け付け、反対派からは「審議が十分聞き取れない」と不満が噴出。市の姿勢に不信感を募らせる形となった。

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