「ツタンカーメン」の鉄剣、千葉工大が世界で初めて分析 謎深い製造技術の解明へ

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千葉工業大学の研究チームが分析したツタンカーメンの鉄剣(同大提供)

 千葉工業大学の研究チームは28日、古代エジプトのツタンカーメンの鉄剣を世界で初めて元素分布分析したと発表した。同鉄剣は鉄の隕石(いんせき)から作られたとされる貴重な資料。進んだ製鉄技術を持たない当時の人々が鉄隕石をどう加工したかは謎に包まれており、今後の詳細分析で製造技術の解明を目指す。人類の製鉄の歴史に迫る研究という。

 研究チームによると、同鉄剣は、1922年に考古学者のハワード・カーターによってツタンカーメンのひつぎから発掘された。紀元前14世紀に製作されたもので、2016年のイタリアの研究チームの調査で、鉄隕石を材料にしていることが分かった。エジプト考古学博物館が所蔵、展示している。

 鉄隕石から作った最古の剣は約4300年前のトルコの遺跡から出土しているが、腐食が進み、どう作ったか詳細は不明だった。ツタンカーメンの鉄剣は保存状態が良いため、製造方法を解明しようと、研究チームがエジプト政府に調査を申請し、許可が下りた。

 調査は今月、同館内で4K高感度カメラや特別な分析機器を使い、非破壊、非接触の方法で実施。ニッケルや亜鉛の濃度、分布状況を調べた。

 その結果、鉄隕石に特徴的な構造がないことから、製作時にある程度、加熱していた半面、硫化鉄鉱物の痕跡が残っているため温度はそれほど高くなかった可能性があることが判明した。研究チームは4月以降の再調査を申請中で、加熱温度の特定を進める。

 当時の国際関係を記したアマルナ文書には、製鉄技術を持っていたヒッタイト王国に隣接するミタンニ王国(現在のトルコとシリアの国境付近)からツタンカーメンの祖父、アメンホテプ3世に鉄の剣を贈ったという記述があり、研究チームは今後の成分分析などで鉄剣がどこで作られたかも探る。加熱温度が高ければ、製鉄技術を持っていたとされるミタンニ王国で作った可能性が出てくるという。

 同大地球学研究センターの松井孝典所長は「今でも鉄隕石から剣を作るのは難しい。どう作ったのか、由来はどこなのかを明らかにし、鉄器文明の起源を解明したい」と力を込めた。