日ハム、緊急事態宣言の中でOP戦初勝利 白星届けた栗山監督「我々の使命なので」

日本ハム・栗山英樹監督【写真:石川加奈子】

キャプテンを務める西川「開幕した時にいい姿を見せられることが、自分ができる一番のこと」

■日本ハム 4-3 オリックス(オープン戦・29日・札幌ドーム)

 日本ハムは29日、今季初の本拠地試合でサヨナラ勝ち。1点を追う9回2死満塁で杉谷拳士内野手が右中間に逆転サヨナラ打を放った。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、無観客で行った初めての試合。栗山英樹監督は試合後開口一番に「今こういう状況の中でもテレビなどで見ていただいている方がいる。楽しんでもらったり、元気になってもらうというのが我々の使命なので、最後いい形で勝ち切れて良かったと思います」とホッと息をついた。

 プロ野球はオープン戦全ての無観客試合が決まっているが、感染者数が増えている北海道は独特の状況下にある。前日28日夕方に鈴木直道北海道知事が緊急事態宣言を行い、道民に今週末の外出自粛を呼びかけた。これを受けて球団では、球場に入る職員を最小限にとどめると同時に、報道陣のグラウンドとベンチ入りへの立ち入りを制限。選手にも外出を控えるように伝え、単身者が食事に困らないように、球場で夕食を用意した。

北海道知事の決断に栗山監督「我々プロ野球が我慢するというのも意味がある」

 栗山監督は「知事が本当に覚悟されて、北海道の人を守るために言われた。立場によっては大変だったりということもあると思う。でも、リーダーが覚悟して伝えた。我々プロ野球が我慢するというのも意味があると思うし、当たり前のようにやらないといけない」と外出自粛の意義について語った。

 もちろん選手たちも理解している。今季からキャプテンを務める西川遥輝外野手は「手洗い、うがいをしてみんな気をつけている。一人出たら感染してしまうので、一人も出さないように。外出自粛は北海道全体でやっていることなので、僕らも広げないためにも、やっていかないといけないと思っています」とうなずいた。

 無観客のこの日、歓声と鳴り物が響かない中、試合前の国歌斉唱や球場内のアナウンスは通常の試合と同じように行われた。西川は「楽しみにしていたお客さんもいると思うし、僕らも札幌ドームでお客さんの前でできる方がモチベーションも上がるし、より開幕に向けていい準備ができる。お客さんがいないのは寂しい。でも、仕方のないこと。開幕した時にいい姿を見せられることが、自分ができる一番のことだと思う。自分たちも気をつけて、ファンの人たちにも気をつけてもらって、一刻も早くコロナがなくなればいいなと思います」と率直な思いを吐露した。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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