自分を変えてくれた高校生活 感謝胸に代表答辞 波佐見高 佐伯さん 3月1日 卒業式

答辞読み上げの練習をする佐伯さん=波佐見高

 長崎県東彼波佐見町長野郷の県立波佐見高(上田克校長、326人)は本年度、134人が慣れ親しんだ学びやを巣立つ。1日の卒業式で答辞を読む佐伯悠悟さん(19)は、生まれつき手足にハンディキャップがある。内気だった自分を変えてくれたのは3年間の高校生活。家族や先生、友人への感謝の思いを最後の言葉に込める。

 脳性まひで足が不自由なため、普段から車いすを使っている。中学まで地元の普通校に通ったが、高校は特別支援学校に進学するか迷った。車いすバスケットを通じて知り合った先輩や中学の担任教師の勧めもあり、波佐見高に決めた。
 「障害をからかわれないだろうか」。入学当初の不安は、学校生活が始まるとすぐに消えた。移動時に率先して車いすを押してくれたり、動きに時間がかかる自分を待っていてくれたりする同級生や先輩たち。「さりげなく弱い人を支えることができ、自然にその思いを共有できるのが波佐見高生だ」と安心した。
 成長もできた。1年生のとき、教師の勧めで県高校弁論大会に出場。「人前で話すなんて自分にはできない」と当初は消極的だったが、自身の体験を基に「ハンディを乗り越え、堂々と人生を楽しむ」と決意表明する原稿をまとめた。弁論も上達し、3年生では全国大会で入賞できた。
 弁論を通じて人前で話すことへの苦手意識はなくなっていた。自信が付き、積極的になれた。卒業式で大勢を前に答辞を読むなんて「入学したころは想像しなかった」とはにかむ。
 卒業後は県警に就職する。「たくさんの人たちに支えられて、今の自分になれた。これからは自分が、困った人に手を差し伸べられる大人になりたい」。それが、全ての人たちへの恩返しになると思っている。

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