V長崎、練習非公開 新型肺炎感染拡大への対応 ピッチ内外で素早く処置

ゲートが閉ざされたV長崎の練習場。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、見学は中止されている=諫早市サッカー場

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、サッカーJ2のV・ファーレン長崎もピッチ内外の対応を急いでいる。リーグ戦の延期が決まるとすぐに、トレーニング内容を「コンディショニング」から「強化」へ路線変更。2月末には、選手やファンの感染リスクを考慮して、当面の間、練習の非公開も決めた。クラブは「再開に向けて、さらにパワーアップできるよう充電する」としており、リーグ中断期間の過ごし方は、今季の大きなポイントになってきそうだ。

 白星発進した2月23日の開幕戦から1週間。クラブを取り巻く環境は一変した。試合から2日後の25日、Jリーグは3月15日まですべての公式戦を見合わせると発表。V長崎は1日のアウェー京都戦、8日のアウェー徳島戦、14日のホーム大宮戦の3試合が延期となった。
 14日のホーム戦まで2週間以上あったため、運営面の大きなトラブルはなかったが、クラブは延期が決定した当日、チケット購入者へ向けて「代替日が決定次第、取り扱いをお知らせする」とホームページ上で通達。政府が小中高へ臨時休校要請を出すと、即座に練習の非公開を決断するなど素早く対応している。
 一方、ピッチ内に目を向けると、今回のリーグ戦中断は決してマイナスばかりではない。
 開幕戦は勝ち点3こそ手にしたものの、昨季20位の栃木を相手に自分たちの時間をつくれず、苦戦を強いられた。途中出場したFW畑が「キャンプ中はJ1相手にいい戦いをしたが、J2はタイプの違うチームが多い。割り切ったサッカーと球際の激しさに、慣れていない部分があった」と振り返ったように、連係や試合勘のずれを修正するためには、有効な時間とも言えるだろう。
 対戦カードが変更する点もプラス要素の一つ。当初の予定であれば、第2節は京都の新スタジアムの初戦で、通常以上にアウェーの洗礼を浴びた可能性は高い。続く徳島、大宮は開幕戦でともに高い組織力を生かして勝利を収めている。この上位に絡んできそうなチームと対戦する前に与えられた時間を大事にして、しっかり勝ち点につなげていきたい。
 リーグ戦再開まで、V長崎は普段やれない2部練習を予定しているほか、他チームとのトレーニングマッチも取り入れて戦術の成熟を図る方針。「充電」期間を経て、再開後に一回り成長した姿を見せられれば“有意義な中断”だったと言うことができる。

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