25歳の若さで戦力外に…元日ハムの2人が描くセカンドキャリア 「学ぶ必要がある」

昨年まで日本ハムに在籍していた森本龍弥氏(左)と森山恵佑氏【写真:広尾晃】

日本営業大学がプロ野球などスポーツ選手たちのセカンドキャリアを支援する講義を行った

 埼玉県さいたま市で2月23日、日本営業大学のプレ講義が行われた。日本営業大学はプロ野球などスポーツ選手たちにビジネスマンとしてのスキル、知識を身に着けさせてセカンドキャリアを支援しようという一般社団法人である。このプレ講義を、昨年まで日本ハムに在籍していた森本龍弥、森山恵佑の両氏が受講した。

 森本氏は、1994年生まれ。富山県の高岡第一高から2012年にドラフト2位で日本ハムに入団。内野手としてプレーしたが2019年に戦力外通告。森山恵佑氏も同じく1994年生まれ。星稜高校から専修大学を経て2016年にドラフト4位で日本ハムに入団し、外野手としてプレーしたが2019年に戦力外通告を受けた。ともに2019年11月のトライアウトを受けたものの他球団のオファーはなく、野球以外の選択肢を探すこととなった。

 森本氏は「やりたいことが見つからなくて、完全に燃え尽き症候群になってしまったときに、日本営業大学に出会いました。まだまだやれることがあるとアドバイスされて、ここで学んでみようかなと思いました。就きたい職種がないのでまだ自分探しですね。野球しかしてこなかった僕は、外の世界を見たことがなかったので、どんな仕事があるのかわからなかったんです。先輩からは『やめたら仕事で困るからな、今のうちに人脈を拡げろ』と言われていたのですが、現役中はその意味が理解できませんでした。ここ2~3年は戦力外を覚悟していたのですが、実際は通告を受けてから次の仕事を考え始めたという感じです。

 いきなり違う世界に飛び込むより、ここでいろいろなことを学んで、そのうえで自分は何に向いているかを見つけることができればと思っています。僕は人とコミュニケーションをとるのが好きなので、そういう部分を活かすことができる仕事に就ければと思います。将来的には、僕のようにセカンドキャリアで困っている仲間をサポートできるような仕事ができたらな、と思っています」と語った。

今のセカンドキャリアの問題は会社とのマッチングにより重点が置かれつつある

 森山氏は「戦力外になった直後は、野球をやめようと思ったんですが、しばらく経つと野球に未練を感じるようになって、トライアウトを受けました。オファーはありませんでしたが、戦力外になってからトライアウトを受けるまで1か月ほど、しっかり準備をしたので『やり切った』という感じで引退を決意しました。そこですんなり切り替えができました。

 いま、そのあとどうしよう、という気持ちです。ありがたいことにいろんな会社をご紹介いただいて、お話を聞いたんですが、『世の中にはこういう仕事もあるんだな』ということがわかるとともに、何の知識も持たずに、今まで知らなかった社会に出ることを躊躇するようになったんです。そういうときに日本営業大学があることを知って、ここで学ぶ必要があるんじゃないかな、と思いました。知らないことばかりなので、勉強になります。将来的にはスポーツの世界に関わりたいと思っています」と話した。

 以前はプロ野球選手のセカンドキャリアの問題と言えば「求人が少ない」ということであり、働き口を見つけることが第1の目的だった。しかし人材不足があらゆる業種で深刻になっている今は、プロ野球選手には多くの一般企業から声がかかる。12球団トライアウトの現場にも保険会社、警備会社などの人事担当者が多数集まって選手に名刺を配っている。

 今のセカンドキャリアの問題は、選手の適性や希望に沿った職種、会社とのマッチングにより重点が置かれつつあるのだ。日本営業大学は4月に開講し、3か月のカリキュラムの後には提携企業とのマッチングも行われる。2人の元プロ選手には、自分の適性、希望に沿った未来を切り拓いてほしいものだ。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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